広がる歯周病―5歳以上の7割に異常
厚生労働省の歯科疾患実態調査で1999年の結果を見ると、日本人の大半は歯肉(歯茎)に何らかの異常があることがわかる。調査によると、永久歯をもっている5歳以上の人では全体の72.9%に歯肉からの出血や歯周ポケット(歯肉と歯のすき間)があるなど、歯肉に何らかの異常が見つかった。この割合は年齢とともに高まり、35歳から44歳までの年代では84.3%、45歳から54歳では88.4%という高い率になっている。
特に歯周炎の目安になる深さが4ミリ以上の歯周ポケットがある人の割合は、55歳から64歳では50%で、この年代の人の半数が歯周炎を患っていることになる。ちなみに、25歳から34歳では21.5%である。
歯周病の成因は、口の中にいる複数の細菌が、食べ物のカスを分解して歯の表面や歯と歯茎のすき間に歯垢(しこう)を作る。歯垢にカルシウムなどが沈着して石灰化したものが歯石で、この後、歯石の上にさらに歯垢が付着する。
歯垢の中では歯周病を引き起こす細菌が繁殖し、さまざまな酵素を分泌して歯肉に炎症を起こさせ、赤くはれ上がらせる。同時に歯肉と歯の間の粘膜を溶かして歯周ポケットを作るのである。
歯周ポケットの深さが4ミリ以内なら歯肉が赤くはれ上がる歯肉炎だが、深さが4ミリ以上になると歯周炎と呼ばれ、歯を支えている歯肉内部の骨(歯槽骨)を溶かし始める 。放置しておけば歯がぐらついて抜け落ちる。以前は、歯を失う最も大きな原因は虫歯であったが、今は歯周病がとって代わろうとしている。
歯周病の予防の第一は歯垢を取り除くことである。それには歯磨きを徹底することだ。歯だけでなく歯と歯肉のすき間を歯間ブラシでブラッシングすることや、歯ブラシや指先で歯肉をマッサージすることも大切という。さらに3ヶ月から6ヶ月に1回歯科医院において,歯科医.歯科衛生士に歯周病治療と歯の清掃をしてもらう.そうすれば多くの歯を残すことができる。
学校検診をしている歯科医が以前から気にしているのは、歯周病が学童など若い人に増えていることだ。歯科疾患実態調査でも6歳から14歳の学童の40%弱が、歯肉炎にかかっているという結果がでている。15歳から24歳では60%弱になる。ブラッシングの徹底など適切な予防措置をとらないと、こうした人たちは将来、歯周炎になる可能性が高い。
最後に歯周病の自己診断法をまとめてみる。(1)歯肉が健康なピンク色ではなく赤みがかっている(2)歯肉から出血しやすい(3)歯肉が腫(は)れている(4)歯と歯肉の間にすき間ができてきた(5)口臭が強くなった(5)食事をしていないのに口の中がべたつく--などである。ヘビースモーカーも要注意ということだ。