子供の歯の癒合歯を見つけたら・・・

平成22年1月25日(月) 掲載

隣同士の歯と歯がくっ付いて一本の歯のようになってしまったものを「癒合歯」と呼んでいます。
 永久歯では稀(まれ)にしか見かけることはありませんが、乳歯の前歯などでは、時々見られることがあります。
 上の歯よりも下顎の歯に多く見られ、真ん中中央部の乳中切歯(A)とその隣の乳側切歯(B)、乳側切歯と中央部から3番目の乳犬歯(C)が癒合している方が多いようです。
 癒合歯の原因は、未だにはっきりとは解明されてはいませんが、お母さんのお腹の中にいる胎児の時に、乳歯の芽が作られ、その時にくっ付いた状態になって、癒合して出てきたという説が有力視されています。
 さて、この「癒合歯」に意外な落とし穴があります。
 「癒合歯」自体は何も心配することではありませんが、後から生えてくる永久歯に問題があります。
 それは、後から生えてくる永久歯の45%が存在しないというデータがあるからです。
 先に生えてくる乳歯の存在を確認してから永久歯の芽ができます。
 乳歯が癒合していると、永久歯の芽は2歯分できずに1歯分だけできて、永久歯が1本欠如するようです。
 その結果、歯の数と顎(あご)の大きさのバランスにズレがでて、歯並びや噛み合わせが悪くなることがあります。
 また、後から生えてくる永久歯が正常に存在していても、永久歯の生えてくる時期に違いがあり、乳歯の脱落する(抜け換わる時期)時期にも違いがあるので、生え換わる永久歯が、正確な位置に生えてくるようにするために十分な配慮が必要となります。
 当然なことでが、癒合している2本の乳歯のつながっている部分は溝になっていて、ムシ歯や歯肉炎になりやすいので、プラークコントロールは確実にしなければなりません。
 前述しましたが、「癒合歯」は子供の歯の、特に下の前歯に発生することが多いので、保護者の方でも発見しやすい場所にあります。
 「癒合歯」を見つけたら、まずはかかりつけの歯科医院でX線検査を行って、「癒合歯」の下に後から生えてくる永久歯があるかどうかを確認してください。
 そして、癒合している歯の状況により、乳歯と永久歯の交換や永久歯の歯並びや噛み合わせに十分対応できるように、かかりつけの歯科医院で相談してください。