噛む食習慣で能力アップ!

平成22年8月16日(月) 掲載

よく噛む人ほど認知症になりにくいという話しを聞いたことはありませんか?
 忙しい現代人は、昔に比べて噛む回数が減少していると言われています。
 朝食もそこそこに、会社や学校に向かい、仕事の合間にサッサっと昼食を済ませ、子どもは学校から帰えれば塾や習い事に時間を取られ、「早く食べなさい!」と急きたてられ、家族団欒でゆっくりと食事をするという習慣さえなくなってしまっているような気がしてなりません。
 食生活が豊かになってしまったことにより、噛む回数も食べるものがなかった終戦直後、さらに歴史を遡れば遡るほど、食事に時間がかかるほどの噛みごたえのある食べ物が少なくなってきて、ハンバーグやカレーなどの噛まなくても流し込めるような食べ物が主流になってきています。
 できれば、1口20~30回くらい噛んで、食材の美味しさを十分に引き出して食べることにより、身体の成長や発育を促進させ、健康増進にも繋がるというものです。
 よく噛むことは脳を刺激して、頭の働きがよくなるといわれています。
 歯は脳が密接な関係にあり、日頃からよく噛んでいる子どもの学力が、あまり噛んでいない子どもの学力を上回ることが報告されています。
 学力でも世界1位から転落してしまった原因が、ひょっとすると「噛む」ことからきているかもしれません。
 また、ある研究では、ガムを噛むことによって、身体の代謝率が一時間当たり19%も向上し、脂肪を11カロリー余分に燃焼させ、肥満を抑制されることが報告されています。
 「噛む」ことは、上のあごと下のあごを結んでいる筋肉(咀嚼筋)だけを使った部分的な運動だと思われがちですが、実は脳の血流や機能の促進を含めた全身運動でもあるのです。
 そのためガムを噛むことによって全身の代謝が活発になり、代謝率が向上します。かつて肥満体で病弱で余命幾ばくもない40歳の男性が、食べ物をドロドロになるまでよく噛むことを毎食に行ったことで、健康体に回復して若さを取り戻した例も報告されています。
 食事はよく噛んで食べることによって、食物の消化、吸収器官である胃や腸などの機能が向上し、身体にとって必要なものを選択的に吸収し、不必要なものは体内には取り込まない仕組みになっています。
 また唾液腺の一つである耳下腺からは、若返りのホルモンと呼ばれるパロチンが分泌されてきます。
 慌ただしい日常生活の中で、せめて食事くらいは楽しく、愉快に、笑いにあふれ、会話をしながらよく噛んで食べたいものです。
 出来ればご家族で「家族団欒」が理想的です。
 「噛む」ことは、口というからだの一部分の運動ですが、脳を含めた全身に刺激を与え、効果的にしかも簡単にからだを活性化させる優れた動作です。
 子どもの頃から、しっかり「噛む」ことを身につけるさせて、健康で丈夫なからだと心、勤勉で運動能力に長けた人間形成を願いたいものです。