ご存知ですか? その密接な関係

平成26年2月17日(月) 東愛知新聞掲載

1) 糖尿病とは食べ物から分解された糖分が体内に吸収されにくくなり、血液中に糖分がたまってしまう状態(高血糖)が続く病気です。
このような状態が持続すると、心臓病、腎臓病、脳卒中、失明等の合併症を起こしてしまいます。初期には自覚症状が少なく気付きにくいのが特徴の大変怖い生活習慣病です。

2) 歯周病とは歯と歯肉の境目の溝(歯周ポケット)で歯周病菌が増えすぎる事により起きる生活習慣病です。歯周病菌は内毒素や色々な有害物質を出して炎症を起こします。
炎症が増大した結果、歯を支えている歯肉や骨が破壊されます。
初期には自覚症状がほとんど無いので気付きにくいのですが、放置すると歯肉の腫れや出血、排膿を繰り返し、歯を支える骨が溶けて歯が抜けてしまいます。
歯周病が進行すると全身の色々な所に影響が出ます。

3) 糖尿病は歯周病を悪化させます。
高血糖になると歯肉部分の血液循環が悪くなります。また歯周病原菌を貪食する多形核白血球の機能が低下し、さらに歯肉のコラーゲン線維を溶解するコラゲナーゼの機能が亢進し歯周病が悪化します。歯周病により歯を失うと食生活に大きく影響します。
糖尿病の治療と共に、お口の中を清潔に保つ重要性を理解しましょう。

4) 歯周病は糖尿病を悪化させる一因です。
歯周病原菌の内毒素や炎症に関わる物質が増加する事によってインスリンの効き目が悪くなり血糖値のコントロールを悪くすると言われています。 糖尿病と歯周病が合併し歯周病が重度の場合に糖尿病の予後が悪くなるという報告や、歯周病を治療すると糖尿病が軽快した報告があります。 糖尿病の経過が思わしくない時に歯肉の腫れや出血、口臭が気になる場合はかかりつけの歯科医で診てもらいましょう。定期的な歯石除去などの歯周病治療を継続的に受ける事は糖尿病をコントロールする有効な方法の1つです。
糖尿病患者で歯周病が進行すると死亡率が大幅に増大し、糖尿病性腎症、心筋梗塞が原因で死亡するケースでは歯周病との関わりが死亡率の約4割になります。

5) よって糖尿病治療中の方は、血糖値のコントロールに加えて歯周病の予防と管理に人一倍の注意が必要です。歯周病治療中の方は糖尿病の検査をお勧めします。

6) 歯科を受診する際、「血糖値が高いと言われた。」「糖尿病の治療中である。」という事であれば必ず歯科医師に伝えて下さい。
歯周病の治療や管理を実施していく為には血糖値のコントロールが不可欠です。

7) 糖尿病と歯周病両方の予防法としては、毎日の生活習慣として
○甘い菓子類、甘味飲料は控えめに
○野菜を多く脂肪分は少なく食べ過ぎに注意
○食事は三回規則的に、ゆっくりよくかんで
○アルコールは控えめに
○禁煙
○運動をする 
○ストレス発散 などが重要です。