子供への歯磨き粉使用について

平成26年5月19日(月) 東愛知新聞掲載

当院でもお子さんを持つお母さんから「こどもの歯磨きの時、どういった歯磨き粉がいいのでしょうか」という疑問をよく聞かれます。あるいは「フッ素入りの歯磨き粉ってどうなんでしょう?」などとも質問されます。  
 歯磨き粉の使用については、専門家でも意見が分かれるところです。ここでは、一般的なことをお話しします。  

 まず、歯磨き粉の種類を大ざっぱに分けると、化粧品に分類されるものと、医薬部外品に分類されるものがあります。化粧品に分類されるものは、薬局やコンビニなどでも取り扱っているもので簡単に手に入ります。医薬部外品に分類されるものは、歯科医院においてあるもので主に成分が違います。例えば医薬部外品であればフッ素入りと表示することができ、またその濃度も国で定めた1000ppmの上限まで配合できます。  

 さて、子供の歯磨きの際、そもそも歯磨き粉は必要なのでしょうか。結論からいうと「どっちでもいい」です。これは、あくまで私の私見ですので異論がある歯科医師もおられると思います。どういうことかというと、歯磨きの最大の目的は飲食後の食べカス(歯垢)を清掃することです。このとき歯磨き粉を使用しなくても適切なブラッシングであれば十分歯垢を取ることができます。そういう理由から歯磨きを歯垢除去だけの目的として考えるなら、歯磨き粉は必要ないということになります。しかし、実際には着色を取ったり、フッ素を配合して歯質を強くしたりという二次的な目的もあるわけです。そこで歯磨き粉が必要となります。なぜなら、歯ブラシで歯磨きするだけでは歯面に沈着した着色(茶渋など)は取れませんし、歯も強くなりません。

 歯磨き粉の説明書を読むと、研磨剤入りとかフッ素入りとか書かれています。子供の口腔内の状態に合ったものを選ぶといいと思います。例えば、とにかく歯を強くしたいならばフッ素濃度の高いものを選ぶとか、前歯によく色が着いてしまうようなら研磨剤入りを選ぶというように。

 最近の歯磨き粉の種類は多すぎてよくわからないという方もいると思います。そこで、かかりつけの歯科医院の登場です。子供の歯の状態を把握しブラッシング指導も受けていれば、歯科医師や歯科衛生士の適切なアドバイスが得られると思います。かかりつけ歯科医院をうまく利用し、適切な歯磨き粉を選んでもらいましょう。