子供の受け口は、早く治療した方がいいと聞きました。なぜ?

平成26年6月2日(月) 東愛知新聞掲載

受け口というのは反対咬合という不正咬合で、乳歯列期の反対咬合には大きく二つの原因があります。一つは上の前歯の傾斜や下の前歯の傾斜による歯槽性の反対咬合、もう一つは下の顎の前方への過成長による骨格性の反対咬合です。  
 歯槽性の反対咬合は永久歯の交換時に自然に改善する可能性もあります。そのため前歯が生え変わるまで様子を見ることが一般的です。
 一方、骨格性の反対咬合は自然に改善する可能性は低く、上下の顎のバランスを悪化することも考えられ、早期から注意が必要となります。
  『早く治療した方がいい』というのは『顎の成長や歯の並びの発育に異常が認められるもしくは異常をきたす可能性がある』いわゆる骨格性の反対咬合のため、かかりつけの先生から言われた事ではないかと思います。  
 矯正治療の治療のタイミングは専門家でも意見が分かれる事があり、噛み合わせだけではなく、咀嚼、嚥下、発音などの障害を早期健全化を図り、乳歯列期(だいたい3歳前後)から対応すべきという考え方と、乳歯列期から早期に治療を開始する事が子供さんの利益につながらない(ストレスになることがある)ので、子供さんの理解が得られ、ある程度自分でも意思決定できるようになる混合歯列期に治療を開始し、効率的に治療を行う考え方があります。 したがって、必ずしも早く治療を行った方が良いと言う事はありません。  
 ただ、早めに相談をして子供さんの咬み合わせについて保護者の方が理解する事は重要だと思います。  
 『早く治療したほうがいい』よりも『早めに相談した方が良い』と思ってもらえたら良いと思います。