親知らずが横に生えていると言われました。抜いた方がいいの?

平成26年10月13日(月) 東愛知新聞掲載

親知らず」は正しくは「第三大臼歯」「智歯」ともいい、高校生くらいから二十歳前後の頃に口の中の一番奥に生えてくる永久歯のことです。最近では、生まれつき親しらずの無い人もいますし、レントゲン写真を撮影して、初めてあごの骨の奥深くで眠っている親知らずが見つかる人もいます。
 親知らずは、生え方によってはさまざまなリスクがあります。生え方が正常で、腫れや痛みが無ければ、そのままにしていても良いでしょう。しかし、斜めや横向きに生えている場合は、現在は症状がなくても、将来的に腫れやムシ歯などのリスクが高くなります。また、一つ前の歯(第二大臼歯)の根を圧迫して悪影響を起こし、奥歯で食べ物をかむと痛みが起こります。痛みがあると、歯の役割である食べ物をかむということができず、ご馳走を美味しく頂くことができなくなります。  
 親知らずを抜くか抜かないかは、歯科医師によって意見が分かれます。きちんと上下の歯のかみ合わせができていてムシ歯の心配がない場合は、残すという判断も間違いではありません。また、親知らずを抜かずに残しておくと、将来親知らず以外の奥歯を失った場合に、移植用の歯として活用が可能な場合もあります
 しかし、矯正治療の希望がある場合は、どんな状態であっても抜くことが多いです。矯正歯科医の考え方は「小児の頃から矯正治療をして歯並びがきれいになっても、大人になり親知らずが生えると、それまでの矯正治療が無駄になってしまうことが多い。また、昔ほど硬いものをかまなくなった日本人のあごは小さくなっていて、親知らずの根は小さいことも多い。よって、親知らずの生える余裕が今の日本人のお口の中にはない。リスクばかりが高い親しらずは無いほうがいい。」ということです。  
 ご質問にあった『横向きに生えている親知らず』ですが、症状の有無に関わらず、将来的に抜歯をしなければならなくなる確率が高いと思われます。また、歯を抜く際には、術後に十分休息がとれる時期を選び、可能であれば翌日まで仕事を休めると安心です。通常は局所麻酔で抜歯をすることが多いですが、生え方によっては難しい手術になる場合があり、抜歯の影響で神経や血管が障害を受けることがあるので、正しい方向ではない生え方をしいている親知らずの場合は、かかりつけの歯科医院から、専門医(口腔外科など)を紹介してもらい、抜く?抜かない?の判断をしてもらうとよいでしょう。