乳歯と永久歯で違いがあるの?

平成27年1月19日(月) 東愛知新聞掲載

皆さんはご自身の子供の頃の歯(乳歯)の事を覚えていますか?昔は上の歯が抜けたら縁の下に、下の歯が抜けたら屋根の上めがけて投げた記憶はありませんか?
 最近はそういったことをするお子さんは少ないかもしれませんが、成長を喜ぶという意味では昔も今も変わっていないですね。
 さて、人は成長する(大きくなる)に連れて顎の骨も大きくなり、身体にあった大きさの大人の歯(永久歯)が生えてきます。人間は一生のうちに一度だけ歯が生え変わりますが、恐竜はどうも二回生え変わるみたいです。これは成長もそうですが、寿命の違いもあると考えられているようです。  乳歯と永久歯の違いはたくさんあります。例えば歯の本数は、主に乳歯で20本、永久歯では親知らずを除いて28本です。主にと表現したのは、生まれつき乳歯や永久歯が少ない場合もあります。様々な原因があるようですが、ヒトの進化の過程では歯の本数は少なくなっていくであろうと考えられているようです。
 また、前歯(左右上下の糸切り歯までの)12本は乳歯のほうが小さいです。ところが乳歯の奥歯(前から四番目五番目)の幅(前後)の合計の長さよりも下から生えてくる永久歯の奥歯(四番目五番目)の合計の幅(前後)のほうが小さいという特徴もあります。 つまり、前歯が抜けても後から出てくる永久歯は大きく、逆に奥歯が抜けて出てくる永久歯のほうが小さいというわけです。乳歯は大抵前歯から抜けてきますので、初めのうちは顔も顎の骨も小さいため、永久歯が大きく(歯並びが悪く)見えてしまいます。成長に連れて顔も顎の骨も大きくなるため奥歯の抜ける頃に小さい奥歯の永久歯が生えてきてバランスを整えています。
 他にも、永久歯のほうが乳歯よりも硬い、色は乳歯は青白い(専門家から見てですが)のに対して永久歯は黄色っぽい(専門家から見てです!)など挙げればたくさんあります。  
 一番の特徴は、大多数の乳歯は抜ける(根が吸収する)ということです。 前から五番目までの乳歯の下には代わりの永久歯(後継永久歯)があることがほとんどです。
しかし、6歳のころに生えてくる6番目の歯(第一大臼歯)、12歳頃に生えてくる7番目の歯(第二大臼歯)、20歳前後に生えてくる(生えてこないことも多いですが)8番目の歯(第三大臼歯=親知らず)は先行乳歯を持っていません。  
 いずれにせよ、ヒトは成長につれて必要な本数だけ歯が生えてきます。一生のうちにたった一回だけ新しい歯が生えてきます。残念ながら乳歯が虫歯になってしまったとしても、永久歯を虫歯にしないようにもう一回チャンスが与えられます。
 予防はとても大切ですが、同時にとても難しいことです。しかし、毎日ほんの少し歯磨きを頑張ろうという気持ちになるだけで大きく変わってきます。今日からでも遅くはありませんので、少しずつ歯や、お口の中の状態に興味を持ってみてください。