先日、歯につめてあったものが取れました。そのまま放っておくとどうなりますか?

平成27年2月2日(月) 東愛知新聞掲載

まず、むし歯が進行します。歯の表面には、エナメル質と言う、硬い組織に覆われています。むし歯などにかかった場合、悪い部分を削り取り、代わりの物を詰めてエナメル質の代わりにします。これによって、歯をエナメル質と同様にむし歯から守るのです。その、守ってくれる物が無くなれば、歯は丸裸の状態なのです。むし歯が進行すれば、どんどん歯の中心に向かいます。そのうち、神経に到達すれば、痛くて夜に眠れなくなるでしょう。その場合、神経を取らなければならなくなります。もっと進めば、歯を抜かなけれなならない場合もあります。
 次に、歯の移動が考えられます。隣同士の歯は、お互い押し合ってバランスが取れています。歯と歯の間の詰め物が取れた場合、そのバランスが崩れます。そして、歯と歯の間が段々と狭くなってきます。狭くなれば、取れた詰め物は装着する事ができなくなります。歯の咬む所の詰め物が取れた場合は、噛む相手の歯が咬みこんできます。この場合も、詰め物は装着できなくなります。新たに詰め物を詰めるにしても、その隙間を作る為に、より深く歯を削らなくてはならなくなります。その結果、神経を取らなくてはならなくなる場合もあり得ます。  
 歯周病になってしまう場合もあります。歯と歯の間の詰め物が取れた場合、そこに食べ物カスが詰まったりします。すると、そこが不潔になり歯ぐきが腫れてきます。ひどくなれば、歯周病が進み、歯を抜かなければならなくなったりします。
 また、絶対にやってはいけない事は、接着剤でくっつけないで下さい。ずれてくっつけた場合、噛めなくなったりします。一般の接着剤は歯科用のセメントと違い、むし歯を誘発したりもします。また、詰め物が2度と使えなくなり、新しく作らなくてはならなくなります。  
 つまり、詰め物が取れたら、1日も早く、かかりつけの歯科医院へ行って下さい。早ければ早いほど良いです。放っておけばおくほど、事態は深刻になってきます。