最近、歯がしみます。これってムシ歯

平成27年3月2日(月) 東愛知新聞掲載

よく患者さんから、歯がしみるという訴えを耳にします。この歯がしみるとは、どういう時に起こるのでしょうか。我々歯科医がしみるということを聞いたとき考えることは、虫歯、あるいは知覚過敏をまず疑います。虫歯は、初期症状では痛みなど感じません。しかし、虫歯の穴が大きくなるにつれて歯の神経が虫歯菌に汚染され、やがて症状を自覚します。その最初の反応が冷たいものにしみる、あるいは甘いものを食べたときにしみるというものです。人によっては自覚されない方もみえます。さらに進行すると熱いものにしみたり、食事の時痛みを感じるようになります。知覚過敏は、おもに冷たい水にしみたりします。冬に歯を磨いてうがいをするときに水道水もかなり冷たくなっています。こんな時に反応し、しみます。また夏の暑い日にアイスクリームやかき氷などを食べたときにも反応することがあります。これらの知覚過敏は、正式には象牙質知覚過敏症といいます。
  処置方法は、虫歯と知覚過敏症では違いがあります。虫歯の場合は、患部の虫歯菌に感染してしまった部分を削っていきます。その後プラスチックや金属、ゼラミックなどの詰め物をします。ケースによっては神経の近くまで削らなければならず、そういった時は治療後にも若干のしみる症状が続くこともあります。しかし、だいたい数週間で落ち着いてきます。
 知覚過敏症の処置としては、症状が出ている歯を特定しさらにエアーを吹きかけるなどして特に反応が大きい部分を探ります。知覚過敏症の場合、歯と歯茎の境目などに反応が集中することが多いのでその部分に表面をコーティングするような薬剤を塗布します。一度の処置で症状が改善されることもありますが、何回も塗布する必要があるときもあります。
 もう一つしみる症状がでるパターンがあります。それは歯にヒビが入っているケースです。これは、虫歯菌の感染もなく象牙質知覚過敏症とも違います。特に奥歯を強く噛む癖のある人は要注意です。日常的に仕事や家事の合間にギュッと奥歯を噛みしめていると歯の表面に亀裂が入ります。徐々に進行しやがて象牙質にまで亀裂が達するとしみる症状が発現することがあります。処置は、神経を取るなどの他被せ物をするなどして歯を守るようにすることです。