痛い時しか、歯科医院に行きません。将来どうなりますか?

平成27年3月30日(月) 東愛知新聞掲載

お口の中の二大疾患として、虫歯と歯周病があり、どちらも放っておくと痛みなどの症状がでてきます。
 まず、虫歯は歯の表面から進行していきます。歯の溝や歯と歯の間、歯と歯肉の間など、食べかすや虫歯菌が停滞しやすい部分から、口の中に常在する虫歯菌が作り出す酸によって、歯の表面のエナメル質が溶かされていきます。この時点ではまだ自覚症状はありません。そして進行していくと、エナメル質の下層の象牙質に虫歯が広がっていきます。象牙質はエナメル質よりやわらかいため、虫歯が中で大きく広がります。そして象牙質内での虫歯がだんだん進行してくると、冷たいものや、温かいものがしみたりしてきます。更に虫歯が歯の中心に存在する神経(歯髄)に近づいてきて、神経が虫歯菌に感染してしまうと、歯髄炎といい、何もしなくてもズキズキと激しい痛みが生じてきます。歯髄炎まで進行してしまうと、歯の中の神経の治療をしなくてはなりません。麻酔をして、歯の根の中の神経と感染した歯の質を除去していきます。歯髄炎を更に放置すると、神経が腐り、細菌の感染が歯の根の先にまでおよび、歯肉の中に膿がたまり、歯肉が腫れたり、鈍痛や膿が出てくるなどの症状が現れます。こうなると最悪の場合、歯自体を抜かなければならないこともあります。
 次に歯周病もまた、歯周病菌の感染によって起こります。歯磨きが不足し、歯と歯肉の間に細菌や食べかすが長期間停滞すると、初期は歯肉が赤く腫れてきたり、歯磨きにより出血してきたりします。そして進行すると、歯と歯肉の間に歯周ポケットという深い溝を形成していきます。さらには歯肉の中にある、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて歯がぐらぐらしだし、歯が抜けてしまうことも起こります。しかも歯周病は初期、中期には自覚症状をあまり感じることが無く進行し、末期になってから痛みや腫れが現れるのが特徴で、恐いところでもあります。
 このようにならないためにも、虫歯、歯周病対策において大事なのは、早期に見つけて、痛みが出るほど進行してしまう前に治療をすることであります。そのためにも、正しい食生活で、日々の歯磨きを念入りに行っていただくと共に、たとえ症状が無くても歯科医院での定期的なチェックを受け、さらにより虫歯や歯周病になりにくいよう、クリーニングやアドバイスを受けていただくことをお勧め致します。