骨粗しょう症と歯周病の関連性について

平成27年8月3日(月) 東愛知新聞掲載

骨粗しょう症には、閉経期以降の女性や高齢の男性に多く見られる「原発性骨粗しょう症」と、若い人でも、栄養不足や運動不足、ステロイド剤などの影響で発症する「続発性骨粗しょう症」があります。
 いずれも、日常のライフスタイルに大きな影響を与えるので、生活習慣病の一つと考えられています。
 骨は20~40歳頃をピークとして、年齢とともに生理的に骨量が減少してきます。
 特に閉経後の女性では、その5~10年の間に、年間骨量減少率が3%以上の急速な減少が起こり、10年間の平均骨量減少率が20%を超えるとも言われています。
 骨粗しょう症は、単なる「骨の老化現象」ではありません。
 骨が病的に変化する疾病で、症状が進行するまで顕著な自覚症状がありません。  
 そのことから、「静かな病気」とも言われ、ゆっくりと進行して腰や背中が痛くなったり、背中が曲がったりして自覚するようになります。
 さらにそれを放置し病状が進行すると、背中や腰に激しい痛みを覚え、寝込んでしまったり、ちょっと転んだだけで手首や足の付け根の骨折を起こして、寝たきりの原因にもなります。
 また、スカスカになった背骨に体重がかかることにより、骨が壊れてしまうこともあります。
 ポキッと折れることだけが骨折ではありません。
 このように時間の経過ともに骨折に至ることを「圧迫骨折」といいます。
 圧迫骨折では、骨折を起こす度に背中は曲がり、身長が短縮します。
  高齢者の方が寝たきりになる原因には、脳卒中、老衰などがありますが、それに次いで多いのが骨粗しょう症による骨折です。
 骨折後は、約40%の方が退院できず寝たきりになったり、さらに骨折後一年以内に10%~20%の方がお亡くなりになっているとのこと、不可逆的に患者さんの自立度と満足度を著しく低下させ、認知症などの合併症を生じさせています。
 歯科の領域でも骨粗しょう症により、歯を支えている顎の骨が減少して、歯周病が進行して、歯がぐらぐらしてくることもあります。
 ただ、歯周病の最大の原因は、歯や歯グキの周囲に多数存在する細菌感染によるものなので、糖尿病などの内科的疾患のある方は、細菌に対する抵抗力が弱く、歯周病に罹患しやすいことから、骨粗しょう症だけが原因で歯周病になることは考えにくいのですが、影響は否定できません。
  歯科医院で、歯や歯周病の状態によって口の中全体のX線写真を撮影することがあります。
 そこから、歯の状態や顎の骨の骨密度の状態がある程度把握できます。  
 骨粗しょう症を心配されてみえる方は、是非相談してみてください。
 前述しましたが、骨粗しょう症の影響を受ける歯周病ですが、しかしその最大の原因は、歯や歯グキの周囲に多数存在する細菌感染によるものです。
日頃からのプラークコントロールが一番大切であることを忘れないで下さい。