歯科衛生士による診療補助
平成27年10月12日(月) 東愛知新聞掲載
歯科衛生士のいわゆる3大業務は、「歯科予防処置」・「歯科臨床補助」・「歯科保健指導」が歯科衛生士法によって定められていますが、今回は「歯科診療補助」についてお話ししたいと思います。
「歯科臨床補助」は、歯科医療において、日々の診療をより正確に、より安全に、そしてより迅速に行うために必要不可欠な業務です。 現在の歯科医療の技術進歩は目覚ましいものがあり、これまで以上に豊富な経験と知識、高度な技術を必要とする治療が増加する傾向にあります。
近年、こういった歯科治療は歯科医師のみで行うことは不可能になりつつあります。
治療を成功させ、より良いものにするためには、より専門性の高い信頼のできる良きパートナーが必要となります。
この信頼できるパートナーこそが「歯科衛生士」です。
歯科医師が治療を正確、安全、迅速に行うために、歯科衛生士がおこなうサポートが「歯科衛生士による歯科診療補助」です。
お口の中(口腔)には、人間の身体の中で最も硬い歯(歯牙)と最も傷つきやすい歯グキや粘膜が共存する複雑な構成の器官です。
そして、舌やあごを動かしている筋肉、そこに存在する神経や動脈という大きな血管も表面近くに走っています。
このような状況下で、ムシ歯の治療で歯を削る時や抜歯の際に、その周りの組織を損傷から守ったり、口(口腔)の中には唾液が存在しているので、治療をおこなう際に支障となる唾液を出来るだけシャットアウトして防湿(乾燥)状態を長時間維持していかなければなりません。
治療おいても、歯科医師と歯科衛生士によるコミュニケーションによって治療手順や進行もスムースに、歯科医師が歯の治療に専念している時でも、歯科衛生士は患者さん全体を見渡し、治療中身動きがとれない患者さんの微妙な変化や行動も把握することができます。
以前は、こういった特殊な環境の中で、歯科医師は細心の注意を払いながら診療に集中しなければなりませんでした。精神的な疲労は大変なものがありましたが、歯科衛生士が「歯科診療補助」でサポートしていただけることで、その集中力は全て診療へと向けることができるようになりました。
歯科治療をおこなう上でも、皆さまのお口の中の健康を守る上でも、歯科衛生士が必要なのです。
歯科衛生士による「歯科診療補助」は、歯科医療の中で、今後益々重要な役割を果たしていくことに違いありません。