痛い虫歯と痛くない虫歯

平成27年11月2日(月) 東愛知新聞掲載

ムシ歯はあるけど痛くないから…」。
「冷たいものを食べたり飲んだりすると痛いけどそれ以外は痛くないから」。
「ムシ歯のところで食べ物を噛むと痛いけど、そこ以外で噛んでいれば痛く ないから」。
「昨日の夜、寝ていると歯が痛くなってきたけど朝起きたらなんともなかった」。  
 こんな話をよく患者さんから伺います。  
 では何故、ムシ歯には痛いムシ歯と痛くないムシ歯があるのでしょうか?  
 ムシ歯の段階はC1からC4までの4段階にわかれます。

C1は「歯の最も外側の『エナメル質』に限局したムシ歯」です。
痛みを感じることはあまり無いですが、人によっては甘いものとか冷たい もので感じることがあります。

C2は「エナメル質の内側の『象牙質』まで進行したムシ歯」です。
この段階になると、ほとんどの人が何らかの症状を感じるようになります。
冷たいものがしみるとか歯に穴が開いていれば噛むと痛いこともありますしかしながら、すべての人がC2のムシ歯で痛みを感じるわけではなく、全 く痛みを感じない場合もあります。
ムシ歯が進行する速さは年齢、歯磨きの状態、食生活などにより異なりますが、進行の早い人だと半年から1年で歯はホロボロになることもあるのです。

C3は「象牙質の内側の歯髄(神経、血管が入っているというところ)」まで 進行したムシ歯です。
一度痛みが発生すると長時間続くようになります。
痛みの発生する頻度も多くなり、新たな症状として、熱いものがしみるようになります。
このムシ歯を放っておくとズキンズキンと脈を打つような激しい痛み(拍動痛)がおきたり、夜寝ているときに痛みがでたりするようになります。

C4は「歯(歯冠)が崩壊し、歯の根(歯根)だけの状態のムシ歯」です。
C4のムシ歯は、バイ菌が歯髄の中を通って、根の先から歯を支える周囲の 組織に感染します。この時の症状は、熱いものがしみる、歯が浮いて物を 噛むと激痛がする、化膿して膿(うみ)が溜まり歯ぐきが大きく腫れてき てズキンズキンとした痛みを起こし、場合によっては発熱を伴うこともあ ります。さらに病状が進むと、バイ菌があごの骨に感染し、骨膜炎や骨髄 炎を引き起こします。顔の形が大きく変わるくらい腫れあがり、入院治療 が必要となります。また、運悪くバイ菌が血液中に入ると『敗血症』を発 症して命に関わることになります。    
たかがムシ歯と思われるかもしれません。 しかし、ムシ歯は放っておいても治りません。必ず、進行して大きくなりま す。  痛みが出る前に早期発見、早期治療をするためには定期的に健診を受けることをお勧めします。