フッ素を使って、虫歯予防を考える

平成27年11月16日(月) 東愛知新聞掲載

歯周病と並んで歯を失う疾患の代表格がムシ歯(う蝕)です。  
 今日はフッ素を使って、ムシ歯予防を考えたいと思います。  
 まずその前に、どうしてムシ歯ができるのかをおさらいしましょう。  
 お口の中にもお腹の中と同じように色々な細菌が住んでいます。その細菌の中には歯周病の原因になるものも、ムシ歯の原因になど多種多様です。  
 これらのムシ歯の原因菌は、食べかすや磨き残しの中に含まれる糖分(ショ糖など)を栄養として増殖して、酸を放出しています。  
 そのムシ歯菌から発生した酸によって、お口の中の酸性度が高くなるにしたがって、身体の中で最も硬い歯の表面のエナメル質が溶かされ(脱灰)、歯に穴が開いてきます。  
 そうです!これがムシ歯のできるメカニズムなのです。  
 では次に、こういった口の中の環境からムシ歯を防ぐにはどうしたらよいのかを考えてみたいと思います。  
 ムシ歯予防で最初に思い浮かぶのは、やはり毎食後の「歯磨き」です。
 「歯磨き」は機械的に食べカスやそれを栄養にして増殖しているムシ歯の塊(プラーク)を除去できるので、とても効果的です。  
 他にも、糖分(ショ糖など)を含む食べ物の摂取を控えるなんて予防法も有りかもしれません。  
 キシリトールなどの甘味料ならムシ歯菌の栄養にはなりません。  
 お口の中が酸性になるのを防ぐことが出来ます。
 あとは、歯そのものを強くするために、耐酸性を高めるという予防法があります。   
 これが今日のテーマである「フッ素を使って、ムシ歯予防」なのです。
 フッ素を使ったムシ歯予防としては、歯科医院や保健所、1歳6か月・3歳児健診などでおこなう「フッ素塗布」、学校などでおこなわれている「フッ素洗口」、「フッ素入り歯磨剤」「フッ素入りガム」などさまざまなものがあります。 いずれの方法でも、口の中に一定以上のフッ素濃度を保つことを目的としていますので、これらが口の中で維持されることにより、歯の表面のエナメル質の結晶構造(ハイドロキシアパタイト)が、より強い結晶構造(フルオロアパタイト)に置き換わっていきます。  
 時々、フライパンのフッ素コート加工と勘違いして、汚れが歯に着きにくくなると思い込んで歯磨きをおろそかにしている方がいるようですが、全く意味の違う話なので勘違いしないで下さい。  
 歯の結晶構造を強固にして「耐酸性を高める」ものなのです。  
 冒頭でも述べたように、ムシ歯は歯が酸によって溶かされる病気です。
 耐酸性が高まれば同じ条件でもムシ歯になりにくくなります。  
 フッ素のメカニズムを良く理解して、上手に「フッ素を使って、ムシ歯予防」をしてください。