指しゃぶり・爪を噛むことによって起こる歯並びへの影響

平成27年12月28日(月) 掲載

無くて七癖」というように、貧乏ゆすりや髪の毛・頭・鼻を触るなどの癖を持っている方がいますが、我が子の癖になると親御さんは、何かと気になるものです。
 子どもの悪習癖の中で、指しゃぶりなどは成長するにつれて消えていきますが、逆に爪噛みのように学童期にかけて増加するものもあります。
 小さな子どもが指をしゃぶる姿はとても微笑ましい仕草ですが、永久歯が生え始める6歳頃を過ぎても、まだ指をしゃぶっている場合には、歯並びへの影響が心配になります。
 今回は、「指しゃぶり」と「爪を噛む」ことについてお話します。
 「指しゃぶり」を放置するとどうなるかご存知ですか?
 もっとも大きな問題が「親指吸引」です。上顎(あご)と上の前歯が前に押し続けられ、その結果、顎(あご)や歯が前方に突き出る上顎前突(出っ歯)になります。
 更に、指を吸引により顎(あご)の側面が常に圧迫され、顎(あご)の外側への発達が阻害され、U字型になる歯の並びがV字型の顎(あご)になってしまいます。
 また、しゃぶっている指の影響で、上の前歯が前に押し出され、下の前歯が内側に引っ込み、上の歯と下の歯の間に指の大きさ分のすき間(開咬)が出来ます。
 歯並び以外の影響としては、「いつも口をぽかんと開ける」傾向があり、その結果、口呼吸が習慣化して、くちびるが閉じなくなったり、上くちびるがめくれ上がってしまうことがあります。
 上下前歯のすき間に舌が出てくる癖や、正しい飲み込みができない癖などが習慣化することがあり、話しをする時の発音も、サ行、タ行、ナ行、ラ行などが舌足らずとなり、発音が不明瞭になります。
 顔も、横顔あるいは口元が変化して、成長に伴って特有の顔貌になります。
 次は「爪を噛む」癖です。
 放置したらどうなるのでしょうか?
 直接、歯並びには影響ありませんが、爪は堅いので、爪を噛み続けると前歯の歯の根が短くなったり、前歯の先端が減ったりと、成長期の歯や歯グキに負担がかかります。
 また、前方での咬み癖などが起こる場合があり、それによって受け口を助長することがあります。
 これらの治療する時期ですが、指しゃぶりの50%が親指をしゃぶる癖で、これによって、前歯が開いたまま咬み合わせても閉じることができない状態(開咬)とそれに伴った出っ歯(上顎前突)になります。
 しかし、これらの症状が骨格(あご)に問題がなく、ただ単に歯の並びのだけの変形から来る軽い症状の場合は、4歳から5歳までに指しゃぶりを止めれば自然治ると言われています。
 これに対して、5歳までに指しゃぶりが止められなかった子どもの60%以上は自然治癒が認められないことから、6歳を超えて指しゃぶりを行っている場合は、歯科医に相談をしてください。
 また、爪を噛む癖についても、学童期から年を重ねるごとに徐々に減少して いくと言われていますが、中には足の爪まで噛んでしまう子どもいます。
 爪を噛むのは不潔ですし、深爪の危険もあります。
 爪を切る必要がないくらいの深爪があったり、指先が荒れて傷があったり、 甘皮がささくれている様な場合は、歯科医に相談をして下さい。
 「指しゃぶり」や「爪を噛む」ことによって起こる歯並びへの影響について、もしあなたのお子さんがこれらに該当して、気になったり、心配でしたら、かかりつけの歯科医院で相談されることをお勧めします。