歯ぎしりの対処法

平成28年3月14日(月) 掲載

会社の慰安旅行や仲のいい友達同士での旅行など、温泉に入って、美味しいものに舌鼓して、気持よく酔いもまわり、フカフカの布団で就寝した矢先、突然周囲から、「ギリギリ・ギリギリという石でも擦りつぶすような雑音で目が覚めて、それから全く寝付けなかった!」という経験されたことがあるのではないでしょうか?  
 「いびき」と同じように、同室の人に迷惑をかけてしまう「歯ぎしり」なのです。
 今回は「歯ぎしり」についてお話します。  
 「歯ぎしり」は、あご(顎)の筋肉の異常な緊張によって発生します。
 原因は、全身的なものとして疲労や遺伝があり、局所的には歯の噛み合わせの異常などが挙げられます。  
 最近、よくいわれるのが精神的要因の1つとなっている「ストレス」が原因していることが多く報告されています。
 人によって、程度の差はあるにせよ、大抵誰にでも起こりうる現象です。  主に意識の無い睡眠中に起こることが殆どですが、前述したように旅先の同部屋の他人から指摘されて初めて気づく方が多いようです。
 「歯ぎしり」は、悪習癖に違いはありませんが、必ずしも病的なものとは言いきれません。
 しかし、「歯ぎしり」によって発生する口腔内への影響はたくさんあります。  
 「歯ぎしり」をする時には強い力が働き、歯の表面が擦り減ったり、時には歯が割れたりすることがあります。
 このように健康な歯に強い力がかかり、それが無意識の内に頻繁に「歯ぎしり」をするようになると、歯が揺れ動かされて、歯周病の原因になることがあります。
 ましてや、歯周病に罹患している歯であれば、歯周病の進行を急激に早めることにもなります。  
 「歯ぎしり」そのものは、病気ではなく悪習癖に分類されますが、それによって歯を擦り減らしたり、歯が割れたり、歯周病への危険性が高くなることに間違いありません。  
 こうしたことが起こらないようにするためにも、「歯ぎしり」の原因を突き止め、その原因を除去することが必要となります。
 原因が「ストレス」ならば、それに対する治療方法としては、自己暗示、睡眠療法、薬物療法などを考えますし、歯並びのから由来する「歯ぎしり」には、 噛み合わせを調整して、筋肉の異常な緊張を取り除いたり、矯正治療を施したりして対応します。  
 また、就寝時にマウスピースのような「ナイトガード」と呼ばれる器具を製作して、就寝中に装着したままで「歯ぎしり」を発生させない工夫をすることも治療方法の1つです。  
 最近では、男女雇用均等法により、女性の社会進出もめざましく、女性においてもストレスによる「歯ぎしり」を訴えられる方が増えています。
 こうした「歯ぎしり」のような悪習癖から、歯やその周りの組織を守って、いつまでも自分自身の歯で居続けるためにも、万が一「歯ぎしり」を指摘されたら、一度かかりつけの歯科医院で相談してみて下さい。