シーラントによる予防処置

平成28年3月21日(月) 掲載

シーラント」というムシ歯予防処置をご存知ですか?  
 主に、こどもの奥歯のムシ歯予防に効果のある処置のひとつです。  
 乳臼の奥歯や6歳頃に生えてくる永久歯の第一大臼歯(通称:6歳臼歯)が対象になります。
 ムシ歯になる可能性が高い歯の溝の部分に、プラスティック(合成樹脂)材を流し込んで埋めてしまう方法です。
 あくまでも予防的な措置なのですが、甘い物が好き、プラークコントロール(歯磨き)が不十分、大人に比べてムシ歯菌の繁殖が高いなど、こどもの口の中の環境を考えると、何もせずに手をこまねいているより、「シーラントによる予防処置」を施した方が、ムシ歯になるリスクはかなり解消されます。
 こどもは奥歯を磨くことが苦手で、特に6歳臼歯の溝はかなり深いので、少しでも日頃のケアを怠るとムシ歯になる確率が高くなります。
 また、乳歯をムシ歯にしてしまうと、その後に生えてくる永久歯の歯並びやこどもの成長や発育にも悪影響を及ぼす原因にもなります。
 こうしたことにならないように歯科医院では、ムシ歯を作らせない予防的処置として「シーラント」を勧めています。
 「シーラント処置」は、短時間で行える簡単な処置です。
 まずは、「シーラント処置」を行う歯の溝の中を、ブラシを用いてきれいに清掃します。清掃処理をした後に、シーラント剤を溝の中に流し込み、光を当てて硬化させます。噛み合わせを確認して終了となります。
 シーラント材には、一般的にプラスチック(合成樹脂)材が使われます。
 こうして、歯の溝が埋まってしまえば、通常食べカスなどが入り込まなくなるため、ムシ歯を作る可能性が低くなります。
 また、乳歯や生え始めの6歳臼歯では、歯に充分な高さがなく、時には歯グキに半ば埋まっていることも多く、一般的なプラスチック(合成樹脂)のシーラント材が使いにくい時は、フッ素セメントで歯の溝の中を固めてしまうこともあります。
 プラスチック(合成樹脂)材のシーラントに較べて、フッ素が含まれているので予防効果はありますが、時間が経つと剥がれてしまうことがあるので、保護者の方に口の中のチェックを欠かさないようにお願いしています。
 また、歯の溝の中に埋め込んだシーラントも、かなり薄い詰めものがしてあるのと同じ状態なので、割れてしまったり、欠けてしまうことがあります。
 その状態で放置してしまうと、逆にムシ歯になりやすくなりますので、やはり保護者の方のチェックと、「シーラント処置」をした歯科医院でメンテナンスが必要となります。
 「シーラント処置」をしたからといってムシ歯にならない訳ではありません。シーラントは、発生率の高い歯の溝に部分に発生するムシ歯を予防することができますが、それ以外のところはフォローしていません。
 通常通り、歯磨き(プラークコントロール)やフッ素を併用すること(フッ素塗布・フッ素洗口やフッ素が配合されている歯磨き剤など)で、ムシ歯予防の効果が高くしていただきたいと思います。  
 そして、ムシ歯を作らないためには、何と言っても、毎日の口の中のケアが一番大切になります。