「歯ぎしり」と「噛みしめ・くいしばり」

平成28年8月15日(月) 掲載

昔から「歯を食いしばる」とか「歯ぎしりをする」という言葉は、「我慢をする」とか「イイラする」というような意味があり、日常的に慣用句として使われています。
 「歯ぎしり」は寝ている時など無意識のうちに上下の歯を擦り合わせて、隣出寝ている人を起こしてしまったなどのエピソードが語られることがあると思いますし、スポーツ選手などが試合中にマウスピースを使用していると、「噛みしめ・くいしばり」から、自分の歯を守っているのがよく判ります。
 ではこの「歯ぎしり」や「くいしばり」は、何時どのような時に起こるのでしょうか?
 前述しましたが、まずは眠っている時に無意識のうちに歯をこすり合わせていることが多いようです。朝起きた時に、歯や顎の痛みや違和感を感じたことはありませんか?
 勉強や仕事、特にパソコンを長時間操作される方に多くみられますし、他には、アスリートの皆さんは瞬発力や持久力を発揮される時もそうですし、逆に野球中継やサッカ-、バレ-ボ-ルなど集中してテレビを見ている時に起こります。
 編み物やパッチワ-ク、ピアノを弾いたり、囲碁や将棋などの趣味にこうじている時にもみられますし、車の運転や新しい環境で生活を始めた時、普段しないようなことをした時など緊張している時も同様です。
 ところが、この「歯ぎしり」や「くいしばり」で、歯を失う危険性があることをご存知でしょうか?
 歯には食べる、発音するという人間が生活するための役割のほかにも、「歯ぎしり」をすることで、精神的なストレスを発散する役目もあると言われ、その原因は、現代社会の象徴である「ストレス」と言われています。
 働き盛りの30代前半から40代後半にかけて出現する確率が高いようですし、 特に最近では、幼児期、学童期の子供に「歯ぎしり」の兆候が見られたりして、どの世代の人にとっても「ストレス」は、現代人にとって欠かせないものになっています。
 「歯ぎしり」や「噛みしめ・くいしばり」になると、「ギリギリ」と音が鳴って周囲の人の迷惑になるだけではなく、歯や歯グキなど口の中に大きな影響が及び、最終的に歯を失う原因になることがありますが、そのことはまだあまり知られていません。
 これらは決して特異なことではありません。
 「歯ぎしり」や「くいしばり・噛みしめ」により、歯が割れたり、すり減ったり、歯の詰め物や被せた物が取れたり、ムシ歯もないのに歯がしみたり、突然歯に痛みが生じることがあります。
 また、歯グキの炎症を誘発して歯周病を悪化させたり、顎の関節の痛みを生じさせたり、頭痛や首・肩のこり、めまいや舌の痛み、胃腸障害などを引き起こすことも判ってきました。
 「歯ぎしり」や「くいしばり・噛みしめ」は、寝ている時や何かに集中していたり、夢中になっている時の「無意識」の状況で起こることが多いので、さほど本人は気づいていないようです。
 人間は口を閉じている状態では、上下の歯は接触していません。
 かならず0.5mm~2mmぐらい上下の歯は離れています。
 まず日頃から、「くいしばってないか?」と注意することから始めて「意識」をするようにしてください。
 そうすれば前に述べた不快な症状は軽減されると思います。
 また、「歯ぎしり」や「くいしばり・噛みしめ」の症状が強い方は、「ナイトガ-ド」というマウスピ-スを入れて、歯や歯の周りの組織を保護する方法もありますので、かかりつけの歯科医院で相談してみてください。
 「口は閉じれど 歯ははなす」。 何ごとにも、肩の力をぬいてリラックスすることが大切です!