噛むことは健康の源!

平成28年9月19日(月) 掲載

子供の頃、食事の時に「よく噛んで食べなさい!」と両親に叱られたことを思い出します。
 昭和39年、小学生になった頃は、野球やドッチボ-ルなど、外で遊ぶことが大好きで、昼休みの放課の時間を長くするために、クラスの中で早く給食を食べることを争っていました。
 その頃から、僕の「早飯食い」は定着してしまったようです。
 でも、患者さんには、「時間をかけて、ゆっくり味わって食べて下さいね!」ってアドバイスしていますので、なんとなく違和感があります。
 子供の頃に身に付いてしまった生活習慣は、なかなか変えられるものではありませんが、今の子供たちを見ていると、余計にそう感じてしまいます。  
 子供たちの好む食べ物の代表的なものは、カレーライス・ハンバーグ・パスタ等の麺類・スナック菓子などで、ファミレスやファーストフードが大好きというのが定番です。
 テレビのCMやインターネット・携帯電話からの情報に影響され、子供たちでなくても、我々でもこのような物が食べたくなるような時代背景があります。
 これに追い討ちをかけているのが、不況と慌ただしい生活習慣で、朝食もそこそこに会社や学校に向かい、朝はコンビニでパンやおにぎりを詰め込み、昼食は仕事の合間にちゃっちゃっと済ませ、学校から帰ったら、塾に行くために「早く食べなさい!」と急かされて、ゆっくり味わって食事をする習慣が無くなってきているような気がしてなりません。
 こんな時代だからこそ、「よく噛む」ことが健康に良いことを理解して欲しいのです。
 まず「噛むこと」は、あごの発育を良くします。
 現代人が1回の食事に必要な噛む回数は620回です。昭和初期は1420回、徳川家康の頃は1465回、卑弥呼の時代は3990回噛まなければ食事が出来ませんでした。
 確かに何回も噛まなくても消化出来てしまう現在の食料事情があるにせよ、噛む回数の減少により、あごの発育が低下して、歯並びの悪い子供が増えています。しかし、あごの発育が低下していることで、小顔のイケメンが増えていますが、いかがなものでしょうか?
 また、噛むことは歯や歯グキが刺激して、丈夫な歯ときれいに歯グキを得ることができます。
 スポーツ選手が試合中にガムをくちゃくちゃ噛んでいる光景を見たことがあると思いますが、これは噛むことにリラックス効果をあるからです。  噛むことで脳に大量の血液が送り込まれ、刺激を受けた脳からセロトニンというホルモンが分泌され、ストレスの解消やリラックス効果があります。
 また、血流が良くなることによって、脳が活性化されると、老化や認知症の抑制にも繋がります。
 噛んでいると、必然的にだ液腺が刺激され、だ液が沢山分泌してきます。 だ液の中には、ペルオキターゼという酵素が含まれていて、この酵素が発がん性物質の毒消し効果のあることが判りました。よく噛んで、食物と混ぜることによって、がんの抑制にもなります。
 さて最後に、女性の方必見、「噛むことで嬉しくなってしまうこと!」をお話します。
 それは、「噛むことは、究極のダイエット!」であるということです。
 ゆっくり時間をかけて食事をすると、食事を開始してから約20分位で、血糖値が上昇して、「お腹が一杯になった!」というシグナルが脳に送られます。これによって、満腹感から食事の量が制限され、必要以上に食べなくても満腹感が得られます。
 ここで問題なのは、僕みたいに「早食い」をする人間は、「お腹が一杯になった!」というシグナルが脳に送られるまでの20分間に、必要以上の量を食べてしまい、カロリー過多になって太りやすい原因を作ってしまいます。  
 噛むことが、肥満の防止とダイエットの効果となって現れます。
 しっかり噛んで、だ液をたくさん分泌させ、ゆっくり時間をかけて食事をすれば、歯も歯グキも、そして身体の健康も維持できることに繋がることになります。
 今日から、食事の時に1口20~30回噛んでから食べるように努力してみて下さい。  健康にいいことがきっとあると思います。