歯垢(しこう)と歯石(しせき)の違いは?

平成29年1月23日(月) 掲載

歯垢」と「歯石」。
 よく聞く言葉ですが、「歯垢と歯石の違いは?」と聞かれると戸惑う方も多いはずです。
 どちらもムシ歯や歯周病の原因となるもので、ケアの方法が全く違います。
 今回は、「歯垢」と「歯石」についてお話します。
 歯磨きを忘れた時などに、歯を爪などで引っかくと、白くてネバネバしたもの取れますが、これが歯垢(プラーク)です。
 「歯垢」は食べカスや歯の垢(あか)ではなく、細菌のかたまりで、「歯垢」1mg中に、およそ300種類、数億~10億個もの細菌が棲みついています!
 だ液の成分と混ざると、薄い透明な膜が作られ、歯の表面をおおいますが、この膜は病的なものではなく、食事により低下するphの変化から歯を守ろうとする役割があります。
 ここに各種の細菌が付着して歯垢となり、食物中の糖分を栄養源にして増殖を続け、さらにネバネバした物質をつくり出し、歯の表面に強力に付着しますが、「歯垢」は歯ブラシで取り除きます。
 確実に歯磨きができないと、いつまでも口の中に残ることになり、口臭・ムシ歯・歯周病などの原因になります。
 「歯垢」の付着を防ぐには、食後の食べ残しや飲みのこしを口の中に残さないことと口腔ケアが大切になります。
 「歯石」は、みがき残した歯垢が、だ液の中のカルシウムなどのミネラルと結合して、硬くなったものです。
 歯に付いた「歯垢」は、たった2日間で「歯石」になると言われ、歯と歯グキの境い目や歯と歯の間に付きやすく、それこそ石のように硬くなるため、歯磨きでは取り除くことができません。
 歯磨きでは、完璧に「歯垢」を除去することは困難なため、どんなに歯磨きを頑張っても、「歯石」は少しずつ付いてしまいます。
 放置すると「歯石」はどんどん硬くなって、そして増え続けます。
 また、「歯石」の表面はデコボコしているために、「歯垢」が付き やすく、細菌の棲み家になるばかりでなく、歯グキを刺激して歯周病の原因となったり、歯周病を悪化させます。
 「歯石」は、「歯垢」のように簡単に取れるものではありません。
 自分で「歯石」を取る道具も売られていますが、細部まで取るの は難しく、不用意におこなうと歯グキを傷つけてしまいますので、歯科医院を受診して取って下さい。
 成人の80%が何らかの歯周病であるといわれる時代です。
 歯周病の予防には、「歯垢」や「歯石」を取り除くことが大切です。
 鏡でこまめにチェックしたり、舌で歯の裏側を触ってザラザラし た感じはないか確認して下さい。
 歯周病は、あまり痛みがなく、知らず知らずのうちに症状が進行するのが特徴です。
 歯科医院での治療や指導はもちろんですが、家庭で出来る、ご自身での予防がもっとも重要となりますので、かかりつけもしくはお近くの歯科医院で、正しい歯磨きの方法やご自身のお口の中の状態を把握されることをお勧めします。