療を嫌がる子供のムシ歯、治療しなくてはいけないのですか?

平成29年2月20日(月) 掲載

乳歯はいずれ生え変わる歯なのに、嫌な思いをさせてまで治療を受けさせる必要があるのか?」、疑問に思いますよね!
 答えは「必要」なのです。
 乳歯には次に生えてくる永久歯を、正しい位置に誘導させるという大切な役割があります。
 また、その乳歯がムシ歯で、しっかり噛むことができなくなると、もっと大変なことになります。
 成長期にある子どもたちの身体や脳の成長発育には、健康な歯で「よく噛んで食べる」ことがとても重要になります。
 ムシ歯は、口の中のムシ歯菌の感染によってできる病気です。
 乳歯は永久歯と較べて、軟らかく驚くほどムシ歯なりやすく、ムシ歯の進行も速いので、乳歯といえども治療が必要です。
 お母さんの心の中には、「泣くからかわいそうだ!」という思いや、「うちの子は暴れるから歯科治療は無理だ!」というあきらめ感がありませんか?
 今までは、泣いて暴れるたびに、治療を中止してしまったのではないでしょうか?
 泣くたびに治療を中止している内に、お子さんの心の中に「泣いたり暴れたりすれば止めてもらえる」という思考が生まれ、何事に対しても「逃げ」の姿勢を身につけてしまう可能性があります。
 お母さんも、お子さんが治療を受けられる環境作りを、我々歯科医療スタッフと共に協力していただければと思います。
 では、どうすれば治療ができるようになるのでしょうか。
 いきなり治療という訳にはいきません。
 まずはご家庭でお母さんから、「ムシ歯は病気だ!」ということを教えてあげてください。
 子どもたちは、何事も初めての時にはかなり不安を持ちます。
 いきなりの治療では、嫌がるのは当たり前です。
 外傷で歯が折れたり、歯の痛みや歯グキが腫(は)れなどの緊急処置は別として、痛みがない場合には、最初は歯科に慣れるためのトレーニングから始まります。
 まずは、口の中の歯や歯グキの状態を検査したり、治療に使用する器具を見せたり触ったりしながら練習をします。
 この練習を繰り返し行って、少しずつ雰囲気に慣れ、恐怖心や緊張感を取り除いて行きます。
 こうしたことを根気よく行っていく内に、治療が出来るようになってきます。
 最後にお母さん方にお願いです。
 お子さんを叱る時に、「歯医者さんに連れて行くからね!」とか、「言うことを聞かないと注射してもらうわよ!」などの脅し文句を使わないで下さい。  
 そして、「歯医者さんは怖い」という印象を与えないで下さい。
 どうぞよろしくお願いします。