手用歯ブラシと電動歯ブラシ

平成29年3月27日(月) 掲載

患者さんからたびたび聞かれることに、「普通(手用)の歯ブラシと電動歯ブラシとでは、どちらを使うのがよいでしょうか?」という質問があります。  
 最近では、電動歯ブラシを使っている方も増え、各家電メ-カ-より多種多様な運動様式の電動歯ブラシが一般向けに販売されています。
 中には、女性をターゲットにした、携帯用でお洒落な可愛い形や色の電動歯ブラシが人気を集めているようです。
 電動歯ブラシの歴史は古く、ヨ-ロッパでは1930年代には開発され、1960年以降になって市販されるようになりました。
 初期の頃の電動歯ブラシは、前後や左右の往復運動のみを行うものでしたが、1980年代になると反復回転運動が加わり、2000年には「お口の中の細菌にダメ-ジを与えることができる」音波や超音波振動を利用するものが急速に市場のシェアを拡大し始めました。
 電動歯ブラシの長所は、手を動かす必要がない、短時間でブラッシングできる、直接細菌に作用する、歯のどこにブラシを当てているかしっかりわかるなどが挙げられます。
 小さな子どもから、高齢者の方まで、安心して歯を磨くことができますし、身体の不自由な方でも、簡単に利用することができます。
 逆に短所としては、重い、振動が気になる、持ちにくい、使うことで満足してしまってちゃんと磨けていない、高価であることなどが挙げられます。  髭そりシェ-バ-などは、時代と共にだんだんと改良されてきました。
 電気掃除機を使っている人は「ほうき」にはもどらないでしょう。
 洗濯を洗濯機で行うのが当たり前の世の中です。
 少々面倒でも、使い勝手が悪くても、きちんと清掃ができれば、専用の道具は、生活の中に溶け込んで、やがて必需品として、なくてならない物として広まります。
 電動歯ブラシも、機械の長所は利用し、歯を効率的に磨くことができるのなら、それが理想形であろうと思います。
 洗濯も汚れのひどい場合には洗剤をつけて手もみ洗いをし、あとは洗濯機で自動で仕上げる。
 歯磨きも同様に、歯と歯の間や、歯の裏側など、磨きにくいところは、普通(手用)の歯ブラシで時間をかけて汚れを落とし、最後に電動歯ブラシで仕上げ磨きをする。
 時間のない時などは、簡単に電動歯ブラシで磨き、一日一回は十分な時間をかけて、手用歯ブラシで磨くなど、ご自身で「自分の磨き方」を工夫されるのもよいのではないでしょうか?
 汚れが落ちて、歯グキのマッサージができ、歯や歯グキに優しい歯ブラシならば、電動歯ブラシでも、手用の歯ブラシでも、どちらを使われても同じ効果が期待できるはずです。