歯科用レントゲン(X線)による被曝について

平成29年7月24日(月) 掲載

歯科医院で撮影するレントゲン写真の安全性について不安を感じている方も多いことと思います。小さなお子さんを持つお母さんや妊婦さんから、「レントゲン写真を撮っても大丈夫なのでしょうか?」と聞かれます。結論から言いうと、「ほとんど心配はありません」。自然界には放射線が存在し、私たちは常に食物や地面などから放射線を受けています。その量は、日本では年間約1,5ミリシーベルトです。外国では10ミリシーベルトになる所もあり、世界の平均は2,4ミリシーベルトです。歯科医院で撮影される小さなレントゲン写真の放射線量は0,01~0,03ミリシーベルトで、顔全体を撮影する大きなレントゲン写真でも放射線量は約0,04ミリシーベルトです。 これは集団検診などで撮影する胃のレントゲン写真の放射線量の100~400分の1、また自然界から1年間に受ける放射線量の50~150分の1程度です。以上のことから、歯科医院で撮影されるレントゲン写真の安全性は高いと言えるのではないでしょうか。
レントゲン写真を撮影する時に、鉛の入った重たいエプロンなどを着用すれば被曝量を少なくすることもできます。時々、レントゲン写真を撮影した後で妊娠に気づかれて不安を感じる方がいますが、歯科医院で撮影するレントゲン写真の放射線量は極めて低いので、妊娠初期を含め全期間を通じて、歯科医院で撮影するレントゲン写真は安全であると言えます。胎児に影響が出ると言われている被曝量が250ミリシーベルト以上と言われていますが、これは歯のレントゲン写真を鉛のエプロンを着用せずに8000~24000回撮影した量と同じですので、心配の必要は無いと思われます。ただし、妊娠に気付いたら、もちろんレントゲン写真の撮影は最小限にとどめるべきであるということは言うまでもありません。 
それでも心配だと言う方は妊娠12週以降、5~7カ月の安定期に治療を行うと良いかと思います。通常の歯科治療で受ける放射線量を心配する必要はほとんどありません。それよりもレントゲン写真の撮影を避けたがために、的確な診断を受けられず適切な治療を受ける機会を逃してしまうことの方が問題です。  レントゲン写真は放射線によって目で見えない病気を見えるようにする歯科治療には欠かすことができないものなのです。