「歯科金属アレルギー」って、どんな症状がでるの?

平成30年10月1日(月) 掲載

金属アレルギー」は、指輪、ピアスなどの金属が、皮膚などに接触し、汗と反応して 皮膚に発疹ができたり、痒(かゆ)くなったりする反応です。
 歯科の分野でも、お口の中に冠が被さっていたり、詰め物などに使われている金属でアレルギー反応を起こすことがあります。
 これは、金属がだ液の成分と接触して、イオン化することで、表皮や粘膜のタンパク質と結合して、いわゆる異種タンパクができ、この異種タンパクに対する拒絶反応として24~72時間後に遅延型のアレルギー反応を起こします。
 代表的なものには、直接局部で起こるアレルギー性接触皮膚炎、接触しない部位に発症する掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などの全身性接触皮膚炎があります。
 お口の中では、頬(きょう)粘膜、舌、口唇(こうしん)、歯グキ、軟口蓋(なんこうがい/上あごの内側の奥の軟らかい部分)に白い斑点やレース状の病変として現れる扁平苔癬(へんぺいたいせん)、炎症症状を示す舌炎(ぜつえん)、歯肉炎、口唇炎(こうしんえん)、舌が地図のようになる地図状舌(ちずじょうぜつ)と呼ばれる病気があります。
 具体的には、口の中の粘膜がヒリヒリしたり、赤くなったり、腫(は)れたり、紅斑(こうはん)や水泡(すいほう)ができ、粘膜の一部が剥離(はくり)したりします。
 その他、味覚異常、灼熱感、疼痛が起きたりします。
 また人によっては、口唇(こうしん=くちびる)が乾燥して、亀裂ができることもあります。
 以上のような症状が長く続き、なかなか治らないようなら「金属アレルギー」を疑って みる必要があります。
 「金属アレルギー」は、皮膚科で何の金属が原因して発生してしまったのかを突き止めることから始まります。
 原因が以前の歯科治療によるものなのか、金属と接触する職業性、生活性のものなのかを鑑別する必要があります。
 「金属アレルギー」の判定には、パッチテストという検査が行われ、原因と思われる金属の試薬を皮膚に貼付してアレルギー反応を確認します。 それによって反応した金属がアレルギーの原因となり、それに対処することになります。
 歯科で使われている金属に原因があれば、皮膚科医と歯科医が連携して治療を行います。
 歯科治療で金属の冠や詰め物を装着して症状が現れれば、歯科治療による金属アレルギーが疑われます。
 最近では、装着後何年も経過してから金属アレルギーを発症するケースもあります。
 パッチテストを行い、陽性反応がでれば、金属を除去することで、治るケースが殆どですが、すぐには症状の改善がみられない場合は、扁桃腺、歯周病、ムシ歯などの感染病巣を疑うこともあります。
 歯科用金属で装着されていた冠や詰め物が原因で「金属アレルギー」を発症している場合は、セラミックやプラスティックなど変更しなければなりませんので、その治療には保険が適用されないことがあります。
 治療を受ける際には、かかりつけの歯科医院でよく相談されることをお勧めします。