哺乳瓶う蝕(ペットボトルカリエス)について

平成31年2月11日(月) 掲載

見知らぬ他人に無邪気に笑顔を振りまく子供は、こちらまで自然と笑顔にさせてしまう魔力を持っています。そこにキレイな前歯があれば、笑顔がより引き立つものであるということは想像に難くないでしょう。
 今から3、40年前のわが国では、それまでの高度経済成長や歯科医師不足などによって虫歯の数は相当なものでした。特に、治療が困難などの理由により小児の治療は後回しにされることが多く、いわゆる「みそっぱ」の子供は決して珍しいものではありませんでした。
 虫歯の予防は歯の生え始めからはじまります。個人差はありますが、歯の生え始めの頃はまだ哺乳瓶や母乳が続いていることがほとんどと思われます。
 哺乳瓶で飲み物を飲むと、前歯のおもて側に飲み物が直接当たります。適切に歯の掃除がされていれば問題ないのですが、そうでなければ虫歯になってしまう危険性が高まってしまいます。哺乳瓶を使う年齢なら歯ブラシもあまりしっかりとはできないことでしょう。また、生えたての歯はまだ完全には硬くなっていないので、余計にダメージを受けやすくなっています。歯が生え始めたら、まずはガーゼなどで掃除も始めて下さい。
 特に夜寝る前に飲むときに注意が必要です。飲み物によっては酸の強いものもあり、歯を磨いた後でこれらの飲み物を飲んだまま寝てしまうと、一晩かけて歯の表面をゆっくり溶かし続けることになってしまいます。これは哺乳瓶に限らずコップやペットボトルで飲んでも同じなので、授乳中に限らずすべての年齢層において、就寝前の歯磨きが済んだら飲食は止めておきましょう。
 ペットボトルと言えば、最近では小型の水筒などとともに飲み物の持ち運びが容易になることで、いつでも手軽に水分の補給ができるようになりました。お出かけには1本手にすることが多いと思います。
 確かに夏の猛暑などでは、「こまめな水分補給を」とのことで重宝しがちですが、歯にとって「こまめな糖分補給」は、むし歯を熟成させてしまいます。この場合の水分補給は(スポーツ直後や体調が悪い場合を除いて)基本的には糖分の含まれないものにして下さい。
 明眸皓歯(めいぼうこうし)という言葉があります。あなたも素敵な笑顔で周りの方々を幸せにしてあげて下さい。