骨粗しょう症治療薬を服用している方へ。
歯科治療上の注意点。

平成31年4月1日(月) 掲載

骨粗しょう症の治療でビスフォスフォネート(BP)製剤を服用もしくは注射されている方が増えてきました。そのような方から下記のような相談がありました。
 「ニュースで顎の骨が壊死する副作用が有ると知り不安になりました。
 治療中の注意点等を教えて頂ければ幸いです。」
 今回はそのようなご不安に対してのアドバイスです。
 通常国内で販売されているBP製剤は、乳癌や前立腺癌の骨転移等に対する注射薬と、骨粗しょう症に対する経口薬が有ります。
 副作用で、顎の骨の壊死が起こることは2003年に米国で初めて報告され、日本でも、BP製剤の普及に伴い増えています。
 大部分は注射薬で起きています。
 発生率は注射薬で0.88~1.15%、経口薬で0.01~0.04%程度です。 然し、投与中に抜歯等の歯科治療が加わると発生率は10倍程に増加します。 体内に入ったBP製剤は、骨を壊す役割を持つ細胞(破骨細胞)の機能を抑え、骨の強度を高めます。
 しかし、骨の代謝を抑制している為、この時期に抜歯等を行うと、周辺の骨の治りが悪く、骨髄炎や壊死を起こすと考えられています。
 壊死が起こるまでの平均的な投与期間は、注射薬で12~24か月、経口薬で36か月と云われていますが、個人差が有ります。 BP製剤を使う時には、歯科治療は前もって行い、使用中も口腔内を清潔に保つことが大切です。
 歯の処置によっては、使用開始時期を遅らせる等の配慮が必要です。
 使用中は、一般的に抜歯、歯肉等を切除する歯周病治療、インプラント(人工歯根)の埋め込み等外科的な処置は避けることが勧められています。
 顎の骨の壊死が一端起こると治り難いので、治療前に主治医や歯科医と良く相談し、治療中も歯茎の腫れや痛みを感じたら直に報告して下さい。