健康は口から入り口から出て行く
歯科衛生士の視点から(1)

令和1年7月8日(月) 掲載

あなたはご自分の歯が何本あるか知っていますか?」、この問いにすぐ答えられる人はそう多くはないでしょう。人間の永久歯は親知らずを含めると32本あります。20本の永久歯があればあまり食生活に不自由なく生活できるという観点から平成元年より「8020運動」というキャンペーンが始まりました。厚生労働省が6年に一度行う歯科疾患実態調査では平成28年は8020達成者が51.2%と半数以上を占めました。当初の達成率が7%程度だったことを考えると驚くべき数字です。なぜ30年足らずでこのような結果になったのでしょうか。歯科衛生教育の浸透、歯科医院数の増加に加え、予約診療による計画的な治療や定期歯科健診の一般化が8020の達成率向上に大きく寄与していることは間違いありません。そして歯科衛生士の活躍も大きな要因の一つと考えられます。
 国家資格である歯科衛生士の業務は次の4つに分類されます。
 1. お口の中の疾病の予防処置
 歯周病や虫歯を予防するため、歯石を取り除いたりフッ素塗布などの処置を行います。
 2. 歯科診療補助
 歯科医師が行う医療行為の一部を法的に認められる範囲で代行することです。具体的には歯の型を採ったり、歯に詰め物をして研磨する等があります。
 3. 歯科診療介助
 診療のアシスタントで、器具の準備や後片付け、受付・窓口業務なども含みます。
 4.歯科保健指導
 お口の中の健康維持のための歯磨き指導、生活習慣指導などを行います。要介護者のために訪問指導なども行う場合もあります。  
 豊橋市歯科医師会は会立の豊橋歯科衛生士専門学校を運営しています。昭和57年の開校なので今年で37年の歴史があります。まだ歯科衛生士という職業が今ほど一般的でない当時、豊橋市歯科医師会が困難を承知で歯科衛生士専門学校の創設に情熱を傾けた先見性は手前味噌ながら称賛に値するものだと思います。歯科衛生士という職業の詳細についてご興味がある方は、豊橋歯科衛生士専門学校が7月25日、8月8日、8月22日にオープンキャンパスを開催いたしますので是非ご参加ください。
 人が歯を失う原因になる2大疾患はむし歯と歯周病ですが、歯科衛生士業務の中で上記のうち予防処置と歯科保健指導がこの2大疾患の重症化にストップをかけ歯の保存に大きく寄与していることは間違いありません。定期的に歯科医院で健診を受け、歯科衛生士のサービスを受けることは、歯の喪失を最小限に抑え、ひいては健康寿命を延ばす秘訣です。そう、お口は健康の入り口なのですから。
 しかし「8020」を手放しで喜べない現状もあります。それについてはまた次回お話しします。