歯を失った時、なぜ、そのまま放置してはいけないのですか?

令和1年12月16日(月) 掲載

ムシ歯や歯周病、おもわぬ事故などで歯を失った時、そのまま放置すると様々の不具合が生じます。
 先ずは「見た目」です。
 前歯が抜けてしまった時、そのままにする人は、余程のことがない限り、まずいません。
 「みっともない」という審美的な問題が発生するからです。
 しかし、直接見える場所ではありませんが、奥歯だと事情が変わってきます。 奥歯の1本や2本失ったところで、さほど不自由を感じることはありませんが、しかし数本が抜けてしまうと、頬(ほほ)がこけて、張り(ハリ)がなくなり、顔立ちが老けて見えます。
 その上、息がもれて発音も悪くなります。
 2番目は「食事」です。
 奥歯が抜けて起こる機能的な問題が、噛み砕く能力の低下です。 1本歯を失くしただけで、その効率は約半分にまで低下し、それに伴い胃腸に負担がかかり、その結果全身に影響が及ぶことさえあります。
 3番目は「かみ合わせ」です。
 歯は隣同士が支え合い、上下の歯が均等に噛み合うように、バランスを保っています。
 そのため1本でも歯を失うと、その抜けた空間の両どなりの歯は、傾いてきますし、噛み合っていた歯は伸びてきてしまいます。
 つまり、歯並びが悪くなって、噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。  
 そして次のような結果を生じます。
・噛み合わせに異常が発生して、ひどい時は、顎の関節に症状が出て、口が開かなくなったり、痛みが出ることもあります(顎関節症)。
・歯磨きしにくい箇所ができて、歯垢(プラーク)の磨き残しが多くなり、ムシ歯や歯周病の原因となります。
・噛み合わせがズレることにより、体のバランスもズレ始め、片頭痛・肩こり・腰痛・歩行困難・瞬発力の低下が起こることがあります。
 以上のことを考えると、歯を失った時、仮に直接困ることがなにもなかったとしても、放置することは得策ではありません。
 抜けた歯の替わりをおぎなうには、入れ歯(あご付きの出し入れ出来るもの)を用いる方法、両隣の歯を利用し橋渡しのかぶせ物(ブリッジ)を用いる方法、人工の歯の根を埋め込むインプラント法などあります。
 歯を失った際は、これらを用いて抜けたところを補(おぎな)いますが、口の中の状況によって、選択出来ないものもありますので、かかりつけもしくはお近くの歯科医院で、よく相談されてからお決め下さい。