しみる!知覚過敏ってどうやって治すの?

令和2年3月23日(月) 掲載

歯がしみるというのは、どういった現象なのでしょうか?
 歯の構造は、歯グキより上の目で見える部分はエナメル質、象牙質という硬い組織が、歯髄(通称:神経)という柔らかい組織を取り囲んで守っているような状態になっています。
 そして、歯グキに隠れている歯の根の部分は、表面がセメント質(エナメル質や象牙質よりも柔らかい組織です)、象牙質に歯髄の管が取り囲まれていますので、歯髄は歯グキの上下につながった状態で存在しています。
 歯の根は歯槽骨という骨の中に埋まっていて、歯を支えています。
 健全な歯と歯グキの状態は、ちょうどハイネックの“歯グキ”というセーターを着た状態で、歯グキは歯の根と骨(歯槽骨)を覆っています。
 丁度、このハイネックの部分が歯周ポケットと呼ばれている部分です。  実は歯の表面のエナメル質というところは感覚がありません。
 歯自体が何かを感じるには、象牙質に刺激が伝わって初めて何かを感じます。
 噛む時に力を感じているのは、歯を支えている周りの骨(歯槽骨)と歯の根の間にスプリングの役割をしている組織(歯根膜=しこんまく)が噛む力を脳に伝えています。
 さらに、歯髄は神経や血管など様々な組織が存在しているのですが、この歯髄の中の神経は痛みしか感じません。
 つまり直接つついても、風をあてても、冷たいものを当てても、熱いものをあてても、歯髄の神経は“痛い!”としか脳に伝えないのです。
 よって、何らかの刺激が直接象牙質を介して歯髄に伝わると歯が痛いと感じることになります。
 この痛みの一過性のものが、「しみる」=「知覚過敏」と呼ばれています。
 正式には「象牙質知覚過敏症」と呼ばれています。
 歯グキが収縮して歯の根の部分の露出したり、ムシ歯を削ったあとの象牙質の露出、また稀に歯のホワイトニング後にも知覚過敏になることもあります。
 ただし、いくら歯の根の部分が露出していても痛みが無い場合は知覚過敏とは言いません。
 主に上の犬歯(糸切り歯)やその奥の小臼歯、下の前歯に多く、季節的には冬場から春先の口の中の温度と外気温との差が大きい時期に頻度が高く、年齢的には20歳過ぎから多くみられるようになり、逆に50歳以降は減少傾向になります。
 原因は様々ですが、力を入れ過ぎた歯磨きや硬い歯ブラシを使用などで、歯グキとの境の歯の部分が擦り減って象牙質が露出したり、歯周病などで歯グキが退縮してしまって象牙質が露出したり、歯ぎしりや食いしばりの強い力によって、歯グキに近い薄いエナメル質に細かいひびが入り、少しずつエナメル質が消失して象牙質が露出することなどで発生します。
 治療方法としては、露出してしまった象牙質部分に樹脂や薬剤でコーティングしたり、歯ブラシの使い方の見直したり、歯周病の治療、レーザー治療、歯ぎしりや食いしばりに対する歯の保護といった方法が用いられます。
 即効性はありませんが、市販されている知覚過敏用歯磨き剤を継続使用することも効果があるとされています。
 いずれにせよ、「何だか歯がしみる」と感じたら、早めに歯科医院を受診されることをお勧めします。