フッ化物洗口の効果について

令和2年4月6日(月) 掲載

フッ素は、自然界に広く分布している元素の1つです。 地中は元より、海水、琵琶湖水、河川水、植物、動物などに微量に含まれていて、私たちが食べたり飲んだりするものの中にも、必ずと言っていいほど含まれています。 飲料水やお茶にもフッ素は含まれています。 そのフッ素が含まれているフッ化物水溶液を用いてブクブクうがいを行い、歯のエナメル質表面にフッ化物を作用させる方法を「フッ化物洗口」と言います。
 「フッ化物洗口」は、学童期を中心とした永久歯のムシ歯予防対策として有効な方法です。 定期的に歯の表面にフッ素を塗ったり、家庭でフッ化物配合歯磨剤と併用しても何の問題ありません。
 また、高齢者における歯と歯の間や歯グキが短縮して露出した歯の根にできるムシ歯の予防に効果的です。
 歯は歯グキから出てきた直後からの2~3年間が最もムシ歯になりやすく、その時期に積極的なムシ歯予防の対策を講じる必要があります。
 具体的には、第一大臼歯(6歳臼歯)が出てくる前の4歳(幼稚園児・保育園児)から開始し、第二大臼歯(6歳臼歯の後ろの歯)が出てくる12歳から2年間、つまり14歳(中学生)までの期間に継続的に実施することがムシ歯予防対策として最も大きな効果をもたらすとされています。 その後の年齢においても、フッ化物は生涯にわたって歯に作用させることが効果的で、望ましいとされています。
 「フッ化物洗口」による効果には、歯質の強化(歯の表面のエナメル質が強化され、ムシ歯菌から歯が溶けにくい歯質になります)、エナメル質の成熟の促進(エナメル質の構成成分に含まれる種々のイオンを追い出し、質的に完全な歯へと成長させます)、初期ムシ歯の再石灰化とムシ歯の進行抑制(フッ素イオンが未完成なエナメル質や傷ついた表面の再石灰化を促進し、初期ムシ歯を修復したり、ムシ歯の進行を抑制します)、口の中の細菌の活動を抑制(細菌のもつ酵素の働きを弱め、ムシ歯の原因となる酸の産生やプラークの形成を抑制します)などの効果があります。
 「フッ化物洗口」によるムシ歯予防効果は約30~80%と非常に高く、とくに前歯のムシ歯予防に効果を発揮します。
 また、「フッ化物洗口」を経験することにより、ムシ歯に対して強い抵抗力を持つ歯となり、「フッ化物洗口」を止めた後も継続します。
 正しく実施すれば健康被害が発生することはありません。
 学校や幼稚園・保育園での「フッ化物洗口」の際、誤って洗口液を1回量を全部飲み込んでしまっても、何の問題もありませんし、長期間継続しても体にフッ素が蓄積し害を起こす心配もありません。
 科学的にすでに安全性、有効性が十分確立されていますので、ブクブクうがいが出来る方なら、どなたでも安心して利用(使用)していただけます。