障害者に多い歯科疾患と治療の重要性

令和2年5月25日(月) 掲載

歯科における2大疾病は、「ムシ歯」と「歯周病」です。そのどちらの疾病も、障害のある方は健常者に比べて、かかりやすいと言われています。
 その原因には様々ありますが、日常におけるお口の中の清掃(プラークコントロール)が、健常者に比べて難しいことが最大の要因だと思われます。  
 「ムシ歯」に関し言えば、障害よって「ムシ歯」になりやすいという訳ではありませんが、障害者の方は、お口の中を清潔に保つことが難しく、結果「ムシ歯」が出来やすく、かつ進行しやすい環境にあります。
 したがって、しっかりとお口の中を清潔に保つことができれば(プラークコントロールができていれば)、十分に「ムシ歯」を予防することは可能になります。
 ただ、傷害の程度や行動の調整が困難であればあるほど、「ムシ歯」も進行してしまいますし、さらに甘味への固執があれば、低年齢から多くの「ムシ歯」を作ってしまいます。  
 「歯周病(歯肉炎+歯周炎[歯槽のうろう])」においても、「ムシ歯」と同様に、お口の中の清掃の不良から、「歯周病」が引き起こされることが多いようです。
 また、抗てんかん薬を使用している場合には、薬剤によって「歯肉炎」が引き起こされるように、障害の程度や服用している薬によっても、「歯周病」が起きやすいので注意の必要となります。
 歯と口の健康は、全身の健康とも深く関わりがあり、障害者の口の中は様々な理由から歯科疾患にかかりやすい環境にあると言えます。
 そのため、低年齢からの継続的な歯科保健指導と口の中の管理が重要となります。
 「ムシ歯」が発生・進行してからの歯科への受診は、歯科治療そのものが困難であるのに加えて、歯科への不要な恐怖心をも与え、後々の歯科を受診することや、歯科保健・管理にも悪影響を与えかねません。
 そうならないためにも、可能な限り早期から歯科保健指導や口の中の管理を目的とした定期的な歯科受診(健診)が重要となります。