歯科医院における消毒、滅菌について

令和2年8月31日(月) 掲載

歯科の二大疾患であるムシ歯と歯周病は、主に「人から人」へムシ歯菌・歯周病菌が感染する感染症であること判っています。
 一般的には、親から子どもに「口から口」へ、例えば『熱い食べ物を「ふーふー」して冷まして子供に与える』、そのような時に親から子どもへムシ歯菌・歯周病菌が感染すると言われています。
 ということは当然、歯医者さんで治療に使われた器具を滅菌(すべての細菌を死滅させること)せずに、他の患者さんにそのまま使えば、その器具を介して、感染が起こる可能性があるということになります。
 こんなややこしい言い回しをするよりも、「他の患者さんに使った器具を滅菌せず、不潔なまま自分に使われるのは嫌ですよね!」。
 患者さんに使った道具には、抜歯やムシ歯の治療などで血液やだ液などの体液が付着していて、その中には他人に感染する病原菌が含まれていることもあります。
 通常の歯科治療では、一般の外科処置のような手術をすることはありませんが、治療の内容によってはかなり出血を伴うことがあります。
 そんなときに、治療器具の滅菌や消毒が不十分だと、前の患者さんに使った器具を介して、感染する可能性があります。
 我が国の医療体制の中では、病院や歯科医院における滅菌消毒業務には医療対価がありません。
 当然なことながら、一生懸命やればやるほど経費がかさみますが、患者さんにとって安心できる治療、安全な治療を受けていただくために、滅菌消毒をはじめとする院内感染予防に力を入れている病院や歯科医院がほとんどです。
 一般的に、患者さんの口の中に入る物など、診療器具や器械について、すべて患者さんごとに滅菌を行なうか、 すべてディスポーザブル(使い捨て)かを選択しています。
 滅菌処理しているものは、診察基本セット(歯科用ミラー・歯周ポケット用探針・ピンセットなど)、手術器具、タービン、バー(歯を削るドリルの先端部分です)、根の治療をする時の器具(リーマーやファイル)などがあり、使い捨てにしているものには、紙コップ、注射針、麻酔液、グローブ(ゴム手袋)などがあります。
 殆どの歯科医院では、複数の患者さんが同一の治療が重なってしまってもいいように、通常よりも患者さんの口に入る器具や道具を余分に多数揃えていますし、殆どの歯科医療機関で高圧滅菌器における処理を行っていますので、安心して歯科治療を受けていただくことができます。