初めて義歯(あご付きの入れ歯)を使われる方へ
令和2年11月2日(月) 掲載
歯は歯グキと骨(歯槽骨:しそうこつ)によって支えられています。
歯グキの下には、歯槽骨という骨があり、歯の根の部分は歯槽骨の中に埋まっています。
歯と歯グキの境目から1~2㎜ほどの部分には、歯槽骨は存在せず、歯グキだけで支えられ、歯を被っている部分があります。
ここを歯肉溝(しにくこう)といいます。
歯肉溝は溝(みぞ)のようになっているため、歯周病菌が溜まり易く、歯磨きしても歯周病菌や汚れなどが除去しにくいので、長時間ほっておくと歯周病菌が増殖して歯グキに炎症をもたらします。
歯グキが炎症を起こすことによって、歯グキが腫(は)れたり、歯を支えている骨が減って(溶けて)歯肉溝が深くなってきます。
このように歯肉溝が深くなって病的な状態になることを「歯周ポケット」と呼んでいます。
この「歯周ポケット」の深さを測定することによって、歯周病の進行度合を調べることができます。
軽度の歯周病は、歯周ポケットが3~5㎜(歯の根の長さの1/3以下の歯槽骨の破壊された状態)で、歯を支えている歯槽骨が破壊されはじめ、ポケット内部にはプラークや歯石がたまっています。
中等度の歯周病は、歯周ポケットが4~7㎜(歯の根の長さの1/3~1/2までの歯槽骨が破壊された状態)で、炎症がさらに拡大し、歯槽骨が歯の根の半分近くまで破壊され、歯が揺れはじめます。
歯周ポケットも深くなり歯ブラシがとどかなくなります。
重度の歯周病では、歯周ポケットが6㎜以上(歯の根の長さの1/2以上の歯槽骨が破壊)で、歯はグラグラ揺れている状態です。
歯周ポケットの深さは歯によって根の長さが違うので、ポケットの深さだけで歯周病の進行度合を決めることはできませんが、歯の動揺やレントゲン(X線)検査などを合わせて判定します。
歯周病の治療はまずはブラッシングから始まり、普段からお口の中を清潔に保つことが不可欠となります。
それに加え軽度の歯周病では、歯石除去などの基本的な治療を行うことによって、ほぼ治癒することができます。
ただし、歯槽骨の破壊が起きていますので、治癒しても歯グキが退縮し、歯の根の露出や、歯と歯のすき間が広がることがあります。
歯周病も中等度に移行すると、それだけでは治癒しにくく、外科的処置が必要になってきます。
この場合治癒しても、著しい歯グキの退縮が起こり、見た目が悪くなります。
重度の歯周病では、多くの場合歯を残すことが難しくなり、抜歯をせざるを 得なくなります。
「歯周ポケット」は、歯周病の判定や治療の目安および治療中、治療後、経過観察中の歯周病の状態の把握に重要な指標となります。