海外へ出張や長期滞在中に歯が痛くなったら

令和2年11月23日(月) 掲載

もし、あなたが海外へ出張や長期滞在中、急に歯が痛みだしたらどうしますか?
 言葉や文化、風習の違う海外で、病院に行こうと思っても、いざとなればなかなか足が向かないのではないでしょうか?
 私の診療所にも、長期の海外出張から戻られた方が来院した際、現地で歯が痛くなって、現地で歯科を受診したら、歯科医がインド人で、「少し引いてしまいました!」と笑いながら話されたことを思い出しました。
 異国の地で、体や歯にトラブルが起きることほど、心細いことはありません。
 また、医療体制も日本のような国民皆保険と違い、外国では健康保険も利用することが出来ません。
 詰めた物や被せた物が取れたとか、入れ歯の小さなトラブルならば、少し我慢して帰国してから日本の歯科医院で治療することもできますが、急に歯が痛み出した場合は、我慢にも限界があり、現地の歯科を受診せざるをえません。
 その場合、海外での治療費は一旦自費で支払うことになります。
 特に、アメリカやヨーロッパなどの先進国では、日本で医療を受けた時に支払う医療費とは比べものにならないくらい高い医療費を要求されることがあります。
 日本国内の健康保険に加入していれば、海外旅行、赴任中に病気や怪我で止むを得ず現地の医療機関で治療を受けた場合、後日申請により支払った医療費の一部を払い戻してくれるシステムがあります。
 対象となるのは、日本国内で健康保険の適用とされる治療に限られます。
 ただし、はじめから治療目的で海外へ渡航した場合は支給されません。
 支払われる金額は、日本国内の医療機関などで同じ治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から自己負担相当額(海外で支払った負担額)を差し引いた金額が支給されます。
 場合によっては、海外で支払った医療費の総額から自己負担相当額を差し引いた額よりも支給額が大幅に少なくなることもあります。
 そこで、海外に出張や長期滞在をされる方へのお願いです。
 日頃から、予防と定期健診は必ず受けておいて下さい。
 出かけられる直前に歯科医院を来院されても、歯科の場合は治療に時間がか かることが多々ありますので、以前から何らかの自覚症状がある場合は、早めに治療して、安心して渡航することが可能になります。
 出張先で「しまった!」とならないように、海外へ行くことが決まったら、出来るだけ早めにかかりつけもしくはお近くの歯科医院を受診して、ご相談下さい。