指しゃぶり・おしゃぶりの歯並びへの影響

令和3年1月11日(月) 掲載

指しゃぶりは、乳児においては普通の生理的な行為で、ごく自然な当たり前の行動です。
 お母さんのおなかの中にいた胎児の頃から指しゃぶりは見られ、これは出産後すぐに自力でお乳を吸うために必要なものとされています。
 また、指しゃぶりには鼻呼吸を促進させ、ひいては上の顎(あご)や鼻の気道の成長を促す作用もあり、口の機能発達の面からも意義のあるものと考えられていますので、赤ちゃん時代の指しゃぶりは、全く問題はありません。
 ただし、あまり長い時間指しゃぶりしている場合は、話しかけたり、スキンシップを図ったりして、気分転換したり、他に興味のありそうなことに誘って少しずつ指しゃぶりから解放させてあげることを心がけて下さい。
 指しゃぶりやおしゃぶりの歯科的な影響は、乳歯の奥歯が生えて噛み合ってくる2歳過ぎから少しずつ見られます。
 長時間おしゃぶりを使ったり、強い力で指をしゃぶっている子どもには、前歯の突出や上下の前歯が噛み合わないなどの歯並びや噛み合わせの問題が生じやすくなります。
 おしゃぶりは2歳過ぎたら、指しゃぶりは3歳過ぎたらやめられるように、少しずつ頻度を減らして下さい。
 乳児期からの指しゃぶりが3歳を過ぎても続いている場合は、本人に意識させることが望ましいので、指しゃぶりをした日はカレンダーに×印を、しなかった日は○印を自分で記入させることも効果的です。
 また、保育園・幼稚園の入園などをきっかけに、指しゃぶりをやめることがあります。
 これは子ども自身に友達づきあいが広がり、社会性が芽生え、いろいろなことに興味を示すようになるからです。
 指しゃぶりをしている姿を、友だちに見られたくないという意識も出てきます。
 5歳過ぎても指しゃぶりがやめられない場合は、自然にはなくなりにくいため、積極的にやめさせるような働きかけが必要になります。
 一度やめた指しゃぶりが再び始まった場合は、なぜ子どもが指しゃぶりをしているのか原因を考える必要があります。
 生活環境などに問題がある場合は、それを取り除く努力をすることにより、指しゃぶりの回数が徐々に少なくなることもあります。
 心理的にも、環境的にも問題がない場合には、指しゃぶりについて知識のある小児歯科医、矯正歯科医などに相談して、指に金属製のサックをはめたり、口腔内に装着するタイプの習癖防止装置の使用を検討します。