安心・安全な歯科医療を提供するために
歯科衛生士が担う役割

令和3年3月8日(月) 掲載

もし、皆さんが歯科医院を訪れるとすると、何がきっかけで来院されるのでしょうか?
 ムシ歯で痛くて我慢できなくなり仕方が無く来院する場合があります。
 そしてもう一つの大きなきっかけは、歯周病で来院されることもあるのではないでしょうか。
 この歯周病は、歯周組織とよばれる歯グキ、歯の根の周囲にあるセメント質、歯を支えている歯槽骨および歯と歯槽骨を結んでいる歯根膜に発症する疾患のことをいいます。
 歯周病は、プラーク(歯垢)の中の細菌が原因となって生じる炎症性疾患です。
 そして最近では、歯周病も生活習慣病の1つとして考えられていて、全身疾患との関連性が大変強いことが判ってきました。
 特に「糖尿病」とは相互関係があり、他にも「感染性心内膜炎」、「誤嚥性肺炎」、「低体重児出産」など、「全身疾患と歯周病」との関係が精力的に研究されています。
 こうしたことを踏まえて、歯科衛生士による「口腔ケア」が大変重要な役割と果たすことになってきました。
 もちろん、今までの歯周病の予防や治療において多くの重要な役割を果たさなければならないことに変わりはありません。
 それと同時に、超高齢社会において全身的疾患を伴う有病者の割合は、高くなるため、歯周病のメインテナンスにおいても、摂食や嚥下を含めた全身状態との相互関係を重視した診療も必要になります。実際に寝たきりや有病者の患者さんは、口腔の清掃状態が悪い場合が多いため、歯科衛生士がより専門的な知識と技術を身につけることで、安心・安全な歯科医療を提供していくことができると必要とされています。
 今後、全身疾患との関係も今以上に研究が進むにつれ、実際に患者さんのお口の中のメインテナンスを担う歯科衛生士の役割が大きくなり、地域の福祉・医療・保健活動などに、歯科医師と共にその役割が大きくなっていくことが予想されます。