歯科衛生士専門学校では何を学ぶの?

令和3年6月7日(月) 掲載

大震災が発生した場合、被災された方々の救援に、医療に携わる現場は、けが人の手当て、病人への診療対応は当然のことですが、それに加えて、避難された方々のケアとそれに伴う衛生管理の対応など、2次被害にも対応しなければなりません。
 被災地では、水不足や物資の不足、生活環境も儘ならない中で、ストレスの増加、栄養状態の悪化や体力の低下も重なり、高齢者や小さな子どもたちが誤嚥性肺炎や感染症で亡くなられたり、ストレスの蓄積から心身的に新たな疾病を誘発する事例が多く報告されました。
 特に、誤嚥性肺炎や感染症(インフルエンザなど)の発症する原因の大きなものとして、口腔ケアが困難になることが指摘されます。
 避難生活が長期化するにつれ、水、歯ブラシ・うがい薬・入れ歯洗浄剤など、口腔ケアに不可欠なものが滞り、高齢者や体の弱った方(小さな子どもたち)が肺炎が引き起こしたり、インフルエンザなどの感染症を発生する原因の多くは、口の中の汚れ(細菌など)によるものです。
 そして、口腔ケアで2次的被害を抑制する役割を担うのが、歯科医師と歯科衛生士なのです。
 歯科衛生士は地域歯科保健・医療に深いかかわりを持たなければなりませんが、近年歯科医療において歯科衛生士の役割は予防、口腔ケアなど多様化され、歯科医療の現場以外にも、医科など他職種との連携、災害対策、救急救命、介護・福祉の知識も必要とされる時代になりました。
 その知識や技術は、歯科衛生士を育成する学校の3年間以上の年限にて、しっかりと学ぶことが義務付けられています。
 歯科衛生士は、厚生労働大臣の名のもとに国家資格を得ることとなり、歯科医師のもとで「口腔疾患の予防処置(歯周病やムシ歯など口の中の疾患を予防する処置行為)」、「歯科診療補助(歯科医師の医療行為の一部を歯科衛生士が行うこと)」、「歯科保健指導(健康的なライフスタイルを営めるように援助すること)」を行うこととなります。
 歯科医院においては歯磨き指導や食生活指導、保育園・幼稚園、学校、保健所での歯磨き教室・歯周病予防教室、家庭や施設を訪問して要介護高齢者への訪問指導などで、援助していくことも歯科衛生士の大切な役割となります。
 これらのことが、卒業後すぐ実践できるように、歯科衛生士を育成する学校において講義や実習を通して学んでいます。
 前述した口腔ケアは、「肺炎(誤嚥性)」も「インフルエンザ」の感染予防効果があることも分ってきています。
 この他にも、歯周病治療を行うことにより糖尿病の方の血糖値が改善されることも分ってきました。
 こうした、全身疾患との関わりについても、歯科衛生士が関わっていくことになります。
 歯科衛生士を育成する教育機関は、「お口の中のスペシャリスト」を育て、「お口と共に、体の健康を守るスペシャリスト」の歯科衛生士を育成しています。