気管支喘息(ぜんそく)と歯科治療

令和3年9月6日(月) 掲載

歯科治療において、歯を抜いた時や神経を取った後などに処方される痛み止め(鎮痛剤)の代表的なものにアスピリンがあります。
 多くの痛み止め(鎮痛剤)の中には、成分として含まれていることがあります。
 皆さんは「アスピリン喘息(ぜんそく)」という言葉を聞いたことがありませんか?
 気管支喘息(ぜんそく)の病型の一つです。
 もともとは、アスピリンにより誘発される喘息(ぜんそく)の発作を言います。 全ての解熱(げねつ)鎮痛薬で発生する可能性があり、しかも致命的な大発作(苦しくて横になれず、会話も困難な状態になります)を起こすことがあるために、注意が必要とされています。
 喘息(ぜんそく)の発作(ほっさ)による突然死のうち、原因が明らかな症例の4割を占めていると言われています。
 歯科治療を受ける前には、喘息(ぜんそく)を持っているかどうかを、また疑いのあると思われる方も、必ずお医者さんで肺機能などの客観的なデータに基づいて、病状を確認しておく必要があります。
 また、その症状に応じた治療を受けて下さい。
 そして、歯科治療を受ける際には、常に医師から処方された喘息(ぜんそく)に効果のある薬剤(短時間作用性のβ2刺激薬吸入剤)を携帯していると安心です。
 喘息(ぜんそく)の症状は改善と悪化を繰り返す特徴がありますので、改善しても必ず、薬を携帯することを心がけてください。
 アスピリン喘息(ぜんそく)は、比較的中年女性に多く、特に慢性鼻炎、慢性副鼻腔炎などの合併症を持っている方に多く、重症の気管支喘息(ぜんそく)を持っている方も多くおられます。
 また、歯科治療に使われる局所麻酔剤に含まれている防腐剤によっても引き起こされる可能性があり、歯を削ったり、抜いたりする時の局所麻酔にも十分に注意が必要となります。
 歯科治療による恐怖心で、喘息(ぜんそく)の発作(ほっさ)が誘発される方もおられますので、精神的にストレスを感じる場合には、市民病院などの総合病院の歯科口腔外科で歯科治療が受けられるように紹介することもあります。
 大きな発作(ほっさ)を生じた場合には、一般の歯科医院では対応できないこともあります。
 持病で喘息(ぜんそく)をお持ちの方は、喘息(ぜんそく)の状況や処方されている薬などの情報を十分に把握され、歯科を受診する場合は、それらを必ず歯科医師にお伝え下さい。
 喘息(ぜんそく)の状態により、かかりつけ医に問い合わせ(確認)をして、患者さんが歯科治療に対応出来るかどうかを十分に相談してから、安心して歯科治療を受けていただけるように対応することになります。