過剰歯って御存知ですか?

令和3年12月6日(月) 掲載

過剰歯とは正常な歯の数を超えてできた歯のことです。日常、私達歯科医師が遭遇する機会は少なくないです。過剰歯は普通の歯と違い、きれいに生えてくることはあまりなく、 ほとんどの場合はあごの骨の中に埋まったままの状態か、歯ぐきから頭だけがでたような状態になります。
 過剰歯の発生頻度は30人~40人に1人の頻度で見られ女性より男性に多く見られます。 研究者によればよくみられる部位は上の前歯(49.2%)で、次いで上の奥歯(37.8%)、下の奥歯(6.6%)の順に多く見られるとのことです。乳歯に関連したものは極めて稀です。
 過剰歯の影響としては、上の前歯の歯と歯の間の隙間、正しく永久歯が生えてこない、歯の根が溶けていく、などがあります。 また、のう胞という病気の原因となることもあります。中でも上の前歯の過剰歯はそのままにしておくと歯並びの異常や咬み合わせの異常をきたしやすく、審美的ならびに機能的に問題を生じる恐れがあります。
 過剰歯の原因は、歯の元である「歯胚」(しはい)が過剰に作られたり、分裂したりすることによって、歯が多く作られてしまうことだと考えられています。
 上の前歯の過剰歯は通常、円錐状など正常とは大きく異なった形をしていて正常な歯との区別は容易です。 また、しばしば顎にもぐった状態で存在しており、レントゲンにより偶然発見されることが多いです。潜った過剰歯は歯の向きにより3通りに分類されています。
 対応方法は、特に問題がなければ放置することもありますが、抜歯が原則です。ただし、乳歯から大人の歯並びになる途中の段階で顎の中に深く潜っている場合には、 手術による影響が大きくなるのですぐには抜歯せず、そのまま半年ないし数年間観察を続けたほうがよいです。永久歯が生えてくると過剰歯も比較的浅い位置まで移動してくることが多く、 その時期まで待つと抜歯は容易で手術による影響が少ないです。
 乳歯から永久歯への生え替わりが遅かったり、乳歯が抜けても永久歯がなかなか生えてこない、前歯の歯並びが気になるなどの場合は過剰歯が原因の場合もありますので、一度かかりつけの歯科医院に相談されたら良いかと思います。