災害時の口腔ケア

令和6年2月5日(月) 掲載

被災地では、水不足、物品不足などの問題から、口腔ケア(歯ブラシや入れ歯の洗浄、口の粘膜の掃除、うがいなど)が困難となります。大規模震災などでは、高齢者や体の弱った方に肺炎が起こり、これらの多くは、口の中の汚れ(細菌など)が唾液とともに肺の方に入ってしまうために起こる「誤嚥性肺炎」と言われています。栄養状態が悪かったり、飲み込みの状態が悪かったり(嚥下障害)すると、この誤嚥性肺炎を起こす危険性が高くなるおそれがあります。忘れがちな口腔ケアをしっかり行う必要があります。
 そこで今回は、十分な水が手にはいらない場合の「お口のケア」についてお話します。
① 少量の水(約30ml)を準備します。
② 水で歯ブラシをぬらして歯みがきします
③ 歯ブラシ合間にハブラシの汚れをティッシュでふきとります
④ コップの水を少しずつお口に含み、2~3回にわけてすすぎます
 歯磨き粉がある場合は、泡の少ないものを少量使いましょう(歯磨きが終わった後にすすぐために多めの水が必要なためです)。 また口腔内リンス剤(水歯磨き剤)があれば水の代わりに歯ブラシを浸して使ってください。嚥下障害のある方は、水やリンス剤を誤嚥(気管や肺に入れてしまうこと)させないように気をつけてください。 歯ブラシを保管するときは、きちんと乾燥させることが大切です。濡れたままの歯ブラシは、すぐに雑菌が増殖してしまいます。 歯ブラシがない場合や嚥下障害などでうがいができない人の場合には、食後に少量の水やお茶でうがいをして、ティッシュや布(ガーゼ)などで歯のよごれを拭うのも効果があります。 できるだけ口の中の歯や粘膜を綺麗にするようにしてください。口の中が乾燥している場合には、強くこすると傷つきますので、やさしく拭くようにしましょう。 また、入れ歯(義歯)を使用されている場合は、口の中に入れたままにして置くと、口の粘膜の間にバイ菌が増え炎症を起こすことがあります。 痛みにもつながりますので、必ず外して洗うようにしましょう。そして、できれば夜間は外していましょう。 入れ歯専用のブラシか歯ブラシがあれば、歯磨き粉をつけずに、水で濡らした歯ブラシで磨いてください。 歯ブラシがない場合には、水で濡らしたガーゼやティッシュでぬぐってください。備えあれば患いなし。 分からない事があれば、是非、かかりつけの歯科医院にご相談ください。