五感を感じる食べ方

令和6年2月19日(月) 掲載

私たちはおいしい料理を食べるためには何をするのでしょうか。まず、きれいに、おいしそうに盛り付けられた料理が目に入ってきます。 そこからは食欲をそそるおいしい匂いがしてきて、食べたいという気持ちがわいてきます。 そして食べ物は口へ運ばれ、飲み込むことによって食道から胃へそして腸へと運ばれ、消化・吸収されていきます。 この過程の中で、口に入った食物は噛み砕かれ、唾液と混ぜ合わされ、飲み込まれていきます。 この咀嚼から嚥下するまでの間、私たちは、口の中にある食物に対して色々な感覚を感じ取りながら食事をしているのです。
 食べ物を噛んでいるときには、“パリパリ”、“バリバリ”、“ポリポリ”、“シャキシャキ”、“シコシコ”、“コリコリ”、“ツルツル”といった音を感じ取り、 食感を擬音で言い表すことができます。同時に、食べ物の感触を“口当たりがよい”、“歯応えがある”、“歯触りがよい”、“舌触りよい”、“舌打ち”、“舌鼓” という口の中にある器官を用いたことばで食べ物の感触を表現することもできます。 さらに、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味といった味覚を感じ取り、同時に匂い・風味を感じ取ります。そして“頬が落ちるようなおいしさ”というような表現をし、食感や味覚を楽しみます。
 こうした様々な感覚を感じ取るためには、歯・口の健康が保持増進され、口の働きがしっかりしていることが必要であることは言うまでもありません。 歯・口は、消化・吸収をしていく過程の中で、視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚という五感を感じ取ること のできる唯一の消化器官なのです。このような感覚を体感することが生活の中に“幸福感”や“ゆとり”をもたらしますし、生活の質の向上につながっていくことにもなります。
 人間は雑食動物に分類されます。小学生から中学生の時期に、乳歯から永久歯に生えかわり、永久歯列が完成し、生涯使い続けることになります。 食事のとき、きれいに盛り付けられた料理を見、料理の匂いを嗅ぐと食欲がわいてきます。野菜などは、切歯で適当な大きさに噛み切り、肉や硬い物は犬歯で引き裂き、臼歯でよく噛みすりつぶし、唾液とよく混ぜ合わせます。 その間に歯触り、舌触りを楽しみ、味を感じとり、食材ごとに違う噛んだときの音を聞くことができます。私たちが、楽しく食事をしている時には、五感を使っていることになります。
 生涯健康な歯を保つことは、食事をする楽しみ、くつろぎを演出するためにとても大切です。食べ難さを感じることがありましたらかかりつけ歯科医にご相談ください。