歯のQ&A

平成26年7月16日(水) 東日新聞掲載

先日、右下の奥歯が痛み歯医者に行ったところ、冠の中の根の中の方が膿んでいると言われ、冠を外して治療が始まりましたが、終わるまでに数回かかると言われました。なぜ、歯の治療は、こんなに回数がかかるのでしょうか。
(40代男性、会社員=新城市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  神藤寿昭 先生
 虫歯を放置して進行すると歯髄つまり神経まで到達してしまうことが有ります。その場合、症状によって抜髄治療と言って神経を取らなくてはなりません。虫歯が進行すると歯髄が細菌感染してしまうので神経が入っていた歯の管の内を洗浄消毒しなくはならないのです。その後歯の根の内に薬を詰め、歯の補強を行い冠をかぶせることになります。本来治療は終了するわけですが、残念ながら何年かして根の先端部分に炎症が起こり根の先端に膿がたまってきてしまうことが有ります。
 歯の神経が入っていた管は、複雑な形態をして、器具が到達し難い形状をしています。管の入口は狭く中で広がり、扁平な形態をしています。レントゲン検査でもわからない部分が存在します。その為神経の治療をした後、何年も経過してから冠を外して再治療しなくてはならない場合があります。  
特に一度根の先端部に感染を起こした歯は神経が入っていた管の治療に何回も洗浄消毒を行わなければならないのです。せっかく治療した歯が再度悪くならないように時間をかけ管の内をきれいにしていく必要が出てきます。少しでも細菌が残らないよう治療をするわけです。
 冠の中の根の中の方が膿んでいると言われたような場合には、管の内を器具によってきれいにした後、薬によって何回も消毒する必要があり回数がかかってしまいます。
 最も大事な事は初期の虫歯を放置せず、かかりつけ医を持って定期的に検診をし、虫歯が進行しないようにすることが重要になります。口の中は自分ではなかなか把握しきれません。 虫歯があるかどうか、また歯肉に問題がないか、歯石や歯垢がたまってきていないか、かかりつけ医に説明してもらう必要があります。定期的に検診することで変化がわかり早期に対応が可能になります。 自分の歯が一番です、健康で長生きするためにも口腔ケアに一層心がけることが重要に思われます。

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