歯のQ&A

平成27年5月25日(月) 東日新聞掲載

先日、歯科医院で部分入れ歯を入れて頂きました。しばらく使用していると洗浄剤を使っているのに金具の部分が黒くなってしまいました。どうして黒くなるのですか。黒くなっても大丈夫ですか。
(50代女性、会社員=蒲郡市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会 鈴木 偉大先生
 保険診療で製作された入れ歯に使用されている金具は、おそらく金銀パラジウム合金だと思われます。しかし、この金銀パラジウム合金をお口の中で使用していると個人差はありますが、だんだんと光沢がなくなり、黒く変色してしまう患者さんがいます。
 変色の原因として、
①口の中の酸性が強く金属が酸化される場合、②口の中に存在する細菌により産生された揮発性硫化物と金属が反応して黒い変色を起こす場合、③間違った入れ歯洗浄剤の使用により変色してしまう場合などが考えられます。 
 変色の程度が患者により異なることか ら、唾液の性状、口の中に常在する細菌などの差が変色の個体差の一因と考えらます。
 お口の中の環境を完全に変えることはできません。しかし、しっかりブラッシングすること(プラークコントロール)により細菌の数を減らすことはできます。歯の周辺だけでなく、舌の表面の白い汚れ(舌苔)も専用ブラシで取り除きましょう。
 洗浄剤に原因がある場合は、金属の腐食を避けるため塩素系洗浄剤ではなく、部分入れ歯専用(防錆剤の入ったものもあります)洗浄剤を使用してください。
 実際、金銀パラジウム合金の腐食や変色により人体に炎症やアレルギーなどの症状を起こすことはまずないと思われます。変色した金属は研磨によりきれいにすることはできますが、変色のひどい方は変色しにくい別の金属(自費診療)を使用した部分入れ歯もありますので、かかりつけ歯科でご相談下さい。

過去に掲載された「歯のQ&A」や歯の関する情報は、豊橋市歯科医師会公式ホームページ「ミラー」でご覧い ただけます。
URL http://www.tda8020.org/