歯のQ&A

平成27年6月12日(金) 東日新聞掲載

先日、歯が割れて痛くてうまく噛めないため抜歯して貰おうと歯科医院に行ったら、骨粗しょう症の薬を飲まれているから抜けないかもしれないよと言われました。どうしてですか、教えて下さい。
(60代女性、主婦=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会 中島章雄
 飲まれているお薬は骨粗しょう症の治療によく使われている骨吸収を抑制する薬剤、ビスフォフォネート製剤(以下BP剤)だと思います。
 BP剤は骨粗鬆症において大変有効な薬ですが、近年BP剤に関連したと考えられる顎骨壊死(ビスフォフォネート性顎骨壊死)の報告が多数みられるようになりました。これはBP剤を内服中の方が抜歯などの外科処置を受けた後に骨の露出したまま治らなかったり、歯周炎等の感染が拡がり骨の露出や排膿が続き上顎骨や下顎骨が壊死状態になるもので、非常に治療が困難です。BP剤を長期にわたって内服している人や、高齢者、ステロイドの内服をしている人、糖尿病の人、喫煙者などはビスフォフォネート性顎骨壊死の可能性が高まります。
 その発生を防ぐには、歯科受診時には必ずBP剤を投与されていることを伝えること。そして、口腔衛生状態を保つために適切な歯みがきを行い定期的な歯科検診を受けることです。
  また、骨粗鬆症や関節リウマチなどでこれからBP剤の内服や注射が予定されている場合は、抜歯などの外科的な歯科処置は可能な限りBP剤による治療開始前に完了しておくことが大切です。すでにBP剤の内服や注射を受けている方は、その治療期間によっては抜歯前に3~6ヶ月BP剤を休薬する必要があります。 いずれにしてもBP剤を内服(あるいは注射)している方の歯科治療に際しては、歯科医師と内科や整形外科などBP剤を処方している医師との間で打ち合わせが必要ですので、必ず担当の歯科医師にお申し出ください。

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