歯のQ&A

平成28年6月27日(水) 東日新聞掲載

子育てが一段落したので、この年からですが歯の矯正をしたいと思っています。40代からでも始めることはできるのでしょうか?できるとして、問題となることはあるのでしょうか?
(40代女性、自営業=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  理事 菅沼 與明
 今回は成人の方の矯正歯科治療に関するご質問ですね。結論から言うと矯正歯科治療は健康な歯と健康な歯周組織があれば年齢は幾つになっても治療可能です。現在では多くの成人の方が綺麗な歯並びを、良い咬み合わせになる事を求めて矯正歯科治療をお受けになっています。
 さて、矯正歯科医院に受診された患者さんから一番多く受ける質問は「治療期間」と「料金」です。一番、興味のある事柄なのでしょう。
 矯正歯科治療は歯を動かして悪い歯並びを治していく動的治療期間と動かした歯の位置を安定させる保定期間に分けられます。成人の方の矯正歯科治療では動的治療期間が2〜3年、そして保定も同じぐらいの2〜3年の期間が必要です。ただし、動的治療期間は装置を装着する時期以外は通常4〜5週間ぐらいで1回の受診間隔で治療を進めていきますし、保定期間では3〜4ヶ月に1回程度の受診です。
 料金に関しては矯正歯科治療は一般的には保険適応外ですので自費治療となります。医院ごとに料金設定や支払い方法が異なりますので各医院にてご相談下さい。
 悪い歯並びは治したくても、多くの方が「歯並びを綺麗にしたいけどあのギラギラした金属の装置で目立つのはイヤ」とお思いで、それが原因で矯正歯科治療をためらっている方が多いのではないでしょうか?
 近年では歯の表面に装着する金属のブラケットを透明や半透明で目立ちにくいセラミックなどを使用した矯正装置が一般的に普及してきております。やや、強度や接着性が金属より劣る部分もありますがほとんど金属のブラケットと遜色なく治療できるようになってきています。先生に要望されてはいかがでしょうか? また、最近では歯の表側に金属の装置を付けずに歯の裏側に付ける舌側矯正歯科治療や、透明なアライナーと呼ばれる取り外しができるマウスピースを利用した矯正装置も出てきています。
 しかしながら、舌側矯正歯科治療は見えないことは最大の利点ですが、高度な特別な技術と経験が必要になり行える術者が限られます。また、通常の表側の装置と比べて治療期間も長くなり、治療費用は高額になってしまいます。そして、患者さんによっては「しゃべりづらい」といったデメリットもあります。  
 アライナーによる治療の最大のメリットは装置が固定式でないことです。人前では装置を外しておくことも出来ますので治療していることが他人に気付かれることなくできることでしょう。食事や歯磨きをするときに外せる点から普段の生活に支障が少ないでしょう。


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URL http://www.tda8020.org/