歯のQ&A

平成29年5月4日(木) 東日新聞掲載

最近気づいたのですが、前歯の銀歯と歯ぐきの境目が黒くなっています。歯ブラシを頑張っても取れません。痛かったりしみたりはしないのですが、歯医者さんに行かないと取れないのでしょうか。
(50代男性、会社員=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  監事  神藤 寿昭
 差し歯と歯グキの間が黒くなっている原因として考えられるものは、まず虫歯で黒くなっている、歯肉が退縮して歯根が露出して黒くなっている、差し歯に使われている金属が黒く見えている、そして歯石がついて黒く見えていると様々な原因があります。
 虫歯で黒くなっている場合、差し歯は神経がなく痛みもないので気づかないうちに進行していることも多いので注意が必要です。小さな虫歯なら差し歯を外さずその部分だけめ物の一種)で詰めることも可能な場合もあいますが、大きくなってしまうと外して再製作しなければならなくなってしまいます。
 歯周病で歯肉が退縮してしまった場合、歯根が露出してくると神経のない歯根は黒っぽく見えることがあります。虫歯ではないので歯周病の治療をしてそのまま経過を見ることもありますが気になれば被せ直した方がよいでしょう。また、黒く沈着した歯石は除去することできれいになりますが、歯周病が進んでしまうと随分と歯根が見えてきてしまうことがあります。定期的なチェックを歯科医院でする必要があると思います。
 多くの差し歯は強度を得るため、金属の裏打ちの外側に葉の色の材料で覆われています。そのため酸化した金属が歯肉を通して黒っぽく見えてしまうこともあります。最近ではなるべく金属をつかわない治療として、補強の土台に特殊な材料を使用したり、金属を使用しない素材を使用することもあります。しかし健康保険で認められていないこともあるのでかかりつけの歯科医院で相談してください。
 せっかく治療した差し歯をきれいに長持ちするためにも、セルフケアと、歯科医院で行うプロフェッショナルによるケアの両方がこれからは重要になってくると思います。


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