歯のQ&A

平成29年9月6日(水) 東日新聞掲載

自分の子供のことなのですが、小さい頃は歯と歯の間に隙間がなかったのですが、5歳を過ぎた今、歯と歯の間に隙間が出来てきました。食べた物がよくはさまっていて、歯ブラシで綺麗にとるのも大変です。何かいい方法がないでしょうか
(20代女性、パート勤務=豊川市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  清水 孝悦
 からだの成長に伴って、顎の骨も成長します。すると乳歯の歯と歯の間にすき間ができてきます。このすき間は乳歯列が育つ過程において特徴的な物で、総称して「発育空隙」と呼ばれています。将来、永久歯が生えてくるための大切なすき間なのです。
 乳歯が奥歯まで生えそろう3歳頃にはすき間は一時小さくなり、その後4歳頃からあごの成長と共に再び広がって、永久歯が生え変わる準備が進みます。特に上あごは永久歯の前歯が生える1年ほど前(だいたい5歳くらい)から急激に成長し、横幅が広がります。永久歯がきれいに生えるようスペースを確保するための大切な準備が進んでいます。質問された方のお子さんはちょうどこの時期にあたると思われます。
 お母さんがお子さんに対してみがく姿勢はお子さんを立たせたまま後ろからあごを左手で支え、顔を少し上向きにしてみがく「立たせ後ろみがき(スターキンズポジション)」が良いでしょう。歯ブラシの動かし方には様々な方法が提唱されていますが、大人が子どもの歯をみがく時にもっとも効果的である方法はスクラッブ法(ゴシゴシみがき)とされています。歯ブラシには強くない力(100~150g)を加え、シャカシャカ・シュッシュといった音が出る感じで横方向にみがきます。奥歯は外側と噛む面、内側、歯の間をみがくので、みがく順番を決めてパターン化するとみがき残しがなくなります。歯ブラシを正確に使いこなせば食べかすなどの汚れは概ねとれますが、歯の間は歯ブラシだけではどうしても汚れが残ってしまうことがあります。その場合、糸ようじ(デンタルフロス)をつかうとよいでしょう。なお、歯ブラシは毛先が歯の表面に直角に当たっていないとはみがきの効果があがらないので歯ブラシを歯に当てるときは毛が斜めになったりしないように歯の表面にあわせて調節することが大事です。この時期の歯ブラシ選定ですが植毛部は乳臼歯1.5歯分前後(15~17mm)で毛足は短めで、中等度の硬さでコシが強いものをおすすめします。
 実際によくみがけているかは確認がむずかしく、さらに歯ブラシの使い方によっては歯ぐきや歯そのものを傷つけることがありますので、定期的にかかりつけの歯医者さんに行ってはみがきの方法と効果をチェックしてもらい、アドバイスを受けましょう。


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