歯のQ&A

平成29年12月6日(水) 東日新聞掲載

上顎の残っていた歯がグラグラになったため、抜いて総入れ歯を作りました。これまでの入れ歯に比べて、上あごの部分が大きく、正直気持ち悪く感じます。歯医者さんに直してもらっても、あまり良くなりません。なにかいい方法はないでしょうか。
(70代男性、無職=豊橋市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会  宮本 裕司
 上の総入れ歯について一般的にお答えします。
 お口の中にご自分の歯が一本もなくなってしまった場合、総入れ歯を作製することになるのですが、ご自身の歯が何本か残っている場合の「部分入れ歯」と比べると、この「総入れ歯」は、口蓋(お口の天井)部を大きく覆う形にして、お口をあけたときに外れにくくする必要があり、また咬む力を入れ歯全体で受け止めるために、ある程度の厚みが必要となります。
 この二点が主に上の総入れ歯を気持ち悪いと感じる原因であることが多いようです。そこで、この異物感を解消するためには、なるべく小さくうすい入れ歯を作る必要があります。  しかしながら現在の保険診療では入れ歯を作製するときに使用できる材料は限られています。
 「加熱重合レジン樹脂」と「ポリサルフォン樹脂」といういずれも樹脂系の材料(強度がさほど強くないもの)を使用することとなっています。そのため、これらの材料で強度を維持するためにはどうしても大きく、厚い入れ歯にならざるをえません。
 このような大きさや、厚みについては、歯科医で調整をうけながら使用していると、ある程度慣れてくることが多いようですが、どうしても改善されない場合には、保険診療以外の材料(金属)を使用した総入れ歯を作ることができます。この入れ歯はさらにうすくできるので、異物感を少なくすることが可能になります。ただし、高額なものになることが多いようです。
 入れ歯は眼鏡や補聴器と同じように、失われたご自身の機能の一部を補って、長い間生活の質を向上するもので、いわば「体の一部」となるものですが、おからだやお口の状態は、おひとりずつさまざまですので、かかりつけの歯科医師とよく相談の上、方針を決めていただくのがよろしいかと存じます。


過去に掲載された「歯のQ&A」や歯の関する情報は、豊橋市歯科医師会公式ホームページ「ミラー」でご覧い ただけます。
URL http://www.tda8020.org/