歯のQ&A

平成30年9月23日(日) 東日新聞掲載

以前から気になっていたのですが、歯と歯グキの境目からやや下の所が、盛り上がっています。 手で触ると硬く痛くもなく、腫れているようでもないのですが、気になります。 一体これは何なのでしょうか?そのままにしておいても大丈夫ですか?
(40代公務員、女性=蒲郡市)

[回答者]
豊橋市歯科医師会専務理事・鈴木 研二
 ある日、歯茎のコブみたいなふくらみに気づいて驚かれる方は多いと思います。歯グキやアゴの骨にできた骨の膨らみを骨隆起と言います。体にとって特に問題がないものなので、そのまま様子を見て構いません。ただし、場合によっては取り除くこともあります。今回は骨隆起の原因やできやすい場所、特徴と治療方法についてお伝えします。  
 【原因】
 噛(か)んだ時、アゴの骨に力が加わり、その刺激によって骨が盛り上がったものです。歯ぎしりや食いしばりが強い方に多く見られますが、遺伝的な可能性もあり、はっきりとした原因は不明です。病的なものではないので、取り除く必要はありませんが、入れ歯が強く当たって痛みが出たり、発音がしにくい場合は取り除くこともあります。
 【できやすい場所】
 骨隆起は主に、下アゴの内側(舌側)にできる下顎隆起(かがくりゅうき)、上アゴの内側にできる口蓋隆起(こうがいりゅうき)、歯と歯グキの境目からやや下の所にできる歯槽隆起(しそうりゅうき)があります。
 【特徴と治療方法】
 骨隆起は骨の膨らみであるため、触ると硬い感じがします。炎症から来る腫れや、腫瘍や嚢胞などのような弾力がありません。炎症反応が原因でないため、痛み、発熱などもありません。ただし、粘膜が薄い所は、歯グキが傷つきやすくなり、歯ブラシや入れ歯などが当たると痛みを感じる事があります。骨隆起は徐々に大きくなる事が多く、小さくなることはあまりありません。入れ歯等が当たり、痛みがある場合は、取り除く事がありますが、取り除いてもその後またできることもあります。骨隆起は歯ぎしりやくいしばりが強い方に多く見られます。これらの行為は骨隆起だけでなく、歯の磨り減りや歯周病などにも悪い影響を与えます。しかし、歯ぎしりなどを止める方法はなく、マウスピースを装着する事で歯や骨にダメージを与えないようにする方法が取られます。まずはかかりつけの歯科医院で膨らみを調べて、今後の対応についてご相談されることをお勧めします。